イスラエル初のサイケデリック・ミュージシャンと称される、ダニー・ベン・イスラエル。本作は、70年発表の代表作「BULLSHIT 3 1/4」セッション時に録音されたまま陽の目を見ることのなかった、言わば「幻の2nd」。セッションを元にした音源というだけに、どの楽曲からも本人たちの陶酔している様が手に取るように伝わってくるアシッド感、臨場感、そして音響の凝り様、飛び様。それでもアルバム構成に至っては一切セッション垂れ流しではなく、奇怪ながらも細部までこだわったサウンドには、サイケファンなら病みつき間違いなしの巧妙な罠がそこかしこに仕込まれています!渦に呑み込まれるような執拗でヘヴィな逆回転を経たあとに待ち受けるは、いつシタールの響きが聴こえてきてもおかしくないようなポポル・ヴーを彷彿とさせる瞑想的アコースティック・ソング、かと思えば欧米ヘヴィサイケに一切引けを取らないギンギンファズが嘶くジミヘン・ライクなハード・ナンバー、果ては機械仕掛けのリズムのうえをファジーなギターと硬質なパーカッションがうねり行く早すぎたインダストリアル/ボディ・ビートまで、凡百のレイト60sサイケの範疇を凌駕した先見的アイデアの数々に圧巻!すべてのサイケ・ファンに捧ぐマスターピースです。
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