廃盤、定価1748+税。
ブルージーさとポップさが絶妙に合わさったサウンド、クリスティンの気だるいハスキー・ボイス、くぐもったバンド・サウンドがたまらない一枚。
70年、チキン・シャック脱退後に発表した初のソロ作。ブルースやスワンプ・ロックのカバー、そしてクリスティンの手による楽曲も5曲収録されています。ブルージーさとポップさが絶妙に合わさったサウンド、気だるいハスキー・ボイス、くぐもったバンド・サウンドがたまりません。マイク・ヴァーノンとの共同プロデュース。
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良くも悪くも淡白(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」は、わたしエッタ・ジェイムズの持ち歌として認識しております。エッタがこの曲をヒットさせたのが68年。劇的に歌い上げるエッタに対して、クリスティンは淡々とすすり泣くようにこの曲を歌っています。わが国の演歌が「ブルース」と銘打つときのトーンに近いです。藤圭子が歌っていても不思議ではありません。この曲が英国でヒットしたことで、半ば引退しようとしていたクリスティンが芸能復帰したと増渕英紀さんはライナーで書いています。
それほどブルーズ寄りの音ではありません。クリスティンの押し付けのなさが良い方向に作用して、どちらかと言えばトラッドの歌手のようなつくりになっています。マイク・バーノンがプロデュースを買って出ていて、ギターは子飼いのリック・ヘイワード。このバックで一時期、クリスティン・パーフェクト・バンドを名乗って活動していたようです。別の盤で聴ける音です。ところが淡白なバックであるので、ミック・フリートウッドの打ち降ろすビートとか、スタン・ウェッブの人を食ったギターとかの個性に欠けます。えぐみがないと言いますか。
そのへんが残念です。チキン・シャックやマックが売れたのはそれなりの理由があるんですわ。クリスティンの曲もマック加入後のような迫力はないと感じます。2023.02.16