キャプテン・ビヨンド

ビヨンド船長冒険譚…というようなのんびりムードが全くない（3 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

ディープ・パープル関連盤として発売当時から知られていたものの、この音がUSハードの金字塔のように語られ始めたのは、メディアがCDになってからではないかと思います。最初から最後まで中だるみなく緊張感が続く作で、曲間さえ意識的に削られています。プログレッシブ・ロックのように流れるストーリーと変拍子は、ほかのハードロックの追随を許しません。まさに孤高にあると申し上げます。

曲をつくっているのは、ロッド・エバンズとボビー・コールドウェル。でも、バンドのコンセプトは、きっとアイアン・バタフライ組が英国ツアーをしたときからだったのでしょう。USサイケの冗長な部分は全く感じられません。そして驚異的なビートを叩き続けるコールドウェル。彼の演奏あっての音です。そのすさまじさはあっぱれです。

音の硬さは、メンズ・ムース・スーパー・ハードのようです。スプレーしただけでバリバリになってしまう硬さ。モントローズやカクタス、果てはディテクティブ、パリスのような硬さを持っています。スピードを全く落とさず、アクースティックやラテンもやってしまいます。ただ遊びが全くない分、疲れてしまう音でもあります。終わるとはぁはぁして、自分が息を殺して聴いていることに気づく盤です。