73年にリリースされた2ndソロ。ある実験映画の映像を元にした作品で、オーケストレーションを加えた前作の延長線上にあるサウンドを展開。音の魔術師と言われるルパート・ハインの面目躍如たる一枚。マイク・ジャイルズ、レイ・クーパー等がゲスト参加。
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こだわりのカツオの塩叩きみたいな(6 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
裏表紙に録音風景が写っています。20人ぐらいの弦楽奏団を指揮しているのがルパート・ハインで、会場が教会の礼拝堂です。自然な残響がほしくてそうしたらしいのです。でも弦楽が全面的に出てくるわけではありません。ぼそぼそつぶやくようなフォーク曲が続き、英国の空を五月晴れにしてなるものか、という具合であります。それだけ録音を気にかけているだけあって、アクースティック・ギターのアルペジオが突然左右レンジに広がったり、バイオリンのピチカートが上空に伸びたりしてびっくりします。
ドラムズやベースを使っている曲も少しあります。でもロックっぽさは皆無と申しておきましょう。期待されてそれを裏切るのも申し訳ない。ルパート・ハインの音世界が恋しい人向けです。この断固とした制作スタイルが誰かに似ていると思いましたら、バン・ダイク・パークスなのですね。パーカッションはミック・ウォーラーとマイケル・ジャイルズですし、ベースはジョン・ペリー。これだけで判る人には判るでしょう。
最終曲でマイケル・ジャイルズがスネアを付き合い程度に叩いています。それだけでジャイルズと判りますの。ジャイルズとルパート・ハイン、ジョン・ペリー、サイモン・ジェフズは、この時期仲が良くてお互いのソロ作に出たり入ったりしていました。そう、キャラバンの「夜ごと太る」のセッション・メンバーです。2023.06.01