SECOND WIND

インストながら何より雄弁なビブラフォン（1 拍手）

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ジャズ・ロックの季節がやってまいりました。音に透明感があって、ひんやりとした空気が気持ち良い。これはずばり名盤です。ピエール・モエルレン（メルレンと発音するのは知っておりますが、ここは馴染みのある名称で）の晩年は、マイク・オールドフィールドとの交友以外、メジャーから契約を切られ、スウェーデンやロシアに活動の拠点を求めるという、いささか寂しい印象のものです。スウェーデン人脈を活かした「セカンド・ウインド」は、わたしが最も聴くモエルレンズ・ゴングであります。

モエルレンのすさまじいところは、ブルフォードみたいに欲を出さず、ずっと打楽器の可能性を追究していったところ。モエルレンズ・ゴングは、音階打楽器をどう使いこなすかがテーマで、マリンバやビブラフォンと冷たいアナログ・シンセが音の中心にあります。またその物悲しいメロディが良くて「タイム・イズ・ザ・キー」や「リーブ・イット・オープン」といった名作を生み出しています。この「セカンド・ウインド」は、メロディにおいても最高峰だと思います。

最後のドラムズ・ソロ三連弾はわたしも聴いていません。それがあるばかりに、このアルバムを駄作扱いするのは可哀想です。おそらく制作会社LINEの倒産でマスターテープはなくなっているはず。一時期このCDについていたプレ値は、かなりのものでした。