SAFE AS MILK/MIRROR MAN SESSIONS

このすさまじい悪意に★5つだ（1 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

「セイフ・アズ・ミルク」のほうしか持っていないですが、レビューしてもよいでしょうか。評判の高さと実際の音の落差が激しい、言ってみれば「がっかり」な作品という特集をすると……必ず「トラウト・マスク・レプリカ」が上がってきます。いや断定しちゃ悪い。上がってくることが多いようです。キャプテン・ビーフハートを聴くなら、断然このファーストでございます。

1曲めのブルーズ「Sure 'Nuff 'N Yes I Do」と2曲めの「Zig Zag Wanderer」だけでも、ガレージ・パンクのユーザーは、狂喜してしまうことでしょう。聴けば、若干20歳のライ・クーダーがゲストで参加しているそうです。こ、この2曲は、カッコいいし、実にカッコいいです。（いかん、日本語まで狂ってきた。）ビーフハート先生のダミ声も全然テクニカルなところがなく、ただのダミ声です。英国には、エドガー・ブロートンという、どこがいいのかさっぱり分からないのに、聴いてしまう曲者がおります。米国ではビーフハート先生です、断然。

67年と言えば、サージェント・ペパーとか、ライト・マイ・ファイアとか言っていた時代。ここまで腰の据わった悪意って…。それをレコード会社もメンバーも一緒にやっているのがすごい。製作者のボブ・クラスノウという人は、同時にアイク＆ティナ・ターナーも引き受けています。どういう魂胆だったんでしょうか。このすさまじい音楽が廃盤にならず、未だに聴けることを感謝いたします。