「音楽歳時記」 第九十二回 9月3日はグミの日でした 文・深民淳
音楽ライター/ディレクター深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。
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西海岸きっての愛されキャラ(0 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ローウェル・ジョージは、グループの創始者でありリーダーであっても、グループの色を決定する人ではなかったと思っています。この傾向は「ラスト・レコード・アルバム」以降で際立ちます。このソロ作は、そのような状況で制作されたものであり、ジョージにとっての原点回帰の意味合いがあります。フィートの方向とは少々相いれない音楽です。
そうであったとしても、スライドを独特の位置まで高めたギタリストであり、人懐こいボーカリストであったジョージの魅力が減るわけではありません。フィートのコア人脈のほか、ジム・ケルトナーやジム・ゴードン、ジョン・デイビッド・サウザーほか西海岸の顔役の人々が惜しみなく彼をサポートしています。みんなジョージのことが大好きだったんです。彼が間もなく他界したことはとても残念なことでした。
アラン・トゥーサン曲で幕を開けることからして、ファンク色はあります。…が、ニューオリンズ一色というわけではありません。カリブ海や古い流行歌の体裁をとる曲もあって、どの曲も美しく仕上げられています。人間味ある米国ポピュラー総覧という趣です。フィートのファンには「トゥー・トレインズ」のカリブ海アレンジという楽しみもあります。いつもは皮肉屋のネオン・パークもジョージを、イイ男に描いています。パークに描いてもらったフィートのメンバーって、ほかにはおりません。