モビー・グレープ

最初ふざけているとしか思えませんでした（3 拍手）

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わたしは、去年あたりから彼らのことを追いかけ始めたユーザーであります。ファースト作が名作と呼ばれております。ですが、どの作品も中毒になる要素があり、このところ熱病のようにして、このバンドの音を聴いています。サンフランシスコ60年代の音であることは間違いないながら、綺麗なコーラスにざくざくしたギター、人懐こいメロディに曲調。ビートルズに最初出会ったときのような、深みと新鮮さを感じているからです。

ビートルズには、曲をあえて未完成にしておく不思議な特徴があります。曲ができても演奏までは大して練習せず、未熟なフレージングでも世に出してしまう。殺人的に新作を急がされていた理由はあると思います。加えて彼らも演奏を成熟させることにはさして感心がなかったのではないかと。モビー・グレープもそんな傾向があり、曲のアイデアを思いつくとそれだけで録音してしまっている感触です。ところが演奏技術は十分であるし、見事に成果品になっているんです。ただ曲として完成しているか、プロデュース作業が完了しているかは別で、次々に傾向の異なる曲が乱雑に出されてくると最初混乱しました。

曲への磁力は間違いなくあり、どこに惹かれるのかわからないまま聴き続けていましたら、中毒になってしまいました。多様な曲調は、初心者ユーザーを遠ざける要素です。アルバムをまるごと覚えてしまうと、ほんとビートルズに対する中毒と同じ症状を呈してきます。