ROGER CHAPMANのアクの強いヴォーカル、骨太なアンサンブル、英国的な薫りを放つ好バンド、8枚目となる73年発表のラストアルバム
1,190円(税込1,309円)
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死んでも円熟なんてしねぇぜ(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
デビュー71年だから、彼がブルーズのニューカマーと考えたかたがいらしたら、それは違います。生まれは1915年、それもミシシッピ。エルモア・ジェイムズの友達であって、フレディ・キングがハウンド・ドッグの曲を勝手に流用させてヒットさせたという話まであります。つまりシカゴの地下で人気がありながら、レコード・デビューしていなかった、言わば無冠の帝王みたいな人なんです。56歳でデビューしたのもすごいですが、この処女作が出た途端に全米で引っ張りだこになって、シカゴに戻れないぐらいだったらしいのです。そして75年に没してしまう。う〜ん。言葉が出ません。
英国でピーター・グリーンやクラプトンがブルーズの新しい魅力を伝えることに成功して、でも失われたものがあります。それが暴力と猥雑さ。ハウンド・ドッグのファズまみれの乱暴なギターを聴いていると、てやんでぇ、レイラがなんだ、アルバトロスなんて聞くに堪えねぇという気持ちになってきます。ブルーズ聴いて暴力的な気分を刺激されるってすごい大事です。だってもとは反逆の音楽なんだからさ。
バンドにはベースがおりません。ブリューワー・フィリップスがリズム担当の、これまたファズ・ギターです。そしてリトル・ウォルターのバンドにいたというドラマーのテッド・ハーベイ。注目されるのは「イット・ハーツ・ミー・トゥー」の作曲クレジットがハウンド・ドッグ自身であることです。エルモアまでハウンド・ドッグをぱくっていたわけです。2022.08.09