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ヘインズは1960年生まれ(1 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ガバメント・ミュールは、70年代大好きユーザーにとってよだれの出るようなプロジェクトです。もともとはウォーレン・ヘインズとアレン・ウッディーが、オールマンズではやれない幅広い英国ロック・トリビュートをやるため始まったプロジェクトであると思っています。時代が求めていたのか、息の長いプロジェクトになってしまいました。アレン・ウッディーが逝去してからも途切れなく活動が続き、ウォーレン・ヘインズを中心としたミクスチャー・ジャムに、あらゆる現役バンドが参加する様相を呈しています。
ガバメント・ミュールの代表作は、プロジェクトの性格からか定かではありません。アルバム数が多く、またそれぞれが3枚組、4枚組であったりして、初心者にはなかなか近寄りがたい存在でもあります。ピンク・フロイドからストーンズ、レゲエまで網羅するジャンル横断の存在でもありますので。ミュールが何をやりたいのか、手っ取り早く知るには、ヘインズのソロが近道ではないのでしょうか。ヘインズとチャック・リーベルが固定メンバーで、数々のセッションから構成されているこのアルバムは、大変分かりやすいものです。
基本になっているのは乾いたブルーズ・ロック、またはカントリーです。ジャム形式ではなく、ヘインズの書くエモーショナルな歌心とギターがそれぞれ聴きものです。それがノスタルジーにならないところがヘインズの芸なのです。
わたしはミュールの存在によって、現在の現役米国ロックの地図を教えてもらいました。テデスキ・トラックスやサニー・ランドレス、ベラ・フレックもミュール経由で知りました。それどころかプライマスやメタリカ、果てはトゥーツさえ彼らと共演するのです。これだけあらゆるジャンルを統合できる存在が、今までのロック史にあったでしょうか。ないと思います。