LPS082(WAH WAH)
LP。
『ウマグマ』以前のフロイドに『狂気』の「On The Run」を延々と演奏させたような感じ!?強烈なバッドトリップ感に呑み込まれます…。
クラウス・シュルツェの助手も務めたドイツの画家兼ギタリスト、ギュンター・シッケルトの74年作1st。エレキ・ギターの多重録音をメインにしたミニマルなサウンドはマニュエル・ゲッチングやアキム・ライヒェルを彷彿とさせますが、彼らのような軽快なミニマルではなく、ひたすらにダークで退廃的なアシッド感漂う音世界。反復するギター・フレーズは芸術的な織物のように緻密でありつつ、現れては消えゆく酩酊的なエフェクトや不穏な囁きが強烈なバッドトリップ感覚を演出。一言で言えば『ウマグマ』以前のフロイドに『狂気』の「On The Run」を延々と演奏させたような、サイケデリックで錯乱的な音響にただただ飲み込まれます。クラウトロックのキャベツ樽の底に眠る、危険な魅力を放つ一枚です。