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たすけさん レビューをすべて見る
「プリーチン・ザ・ブルーズ」は、牧師になるために教会へやってきた。そしたら働かないで済むからという曲。ジ・アンサーがファースト・アルバムでリメイクしています。牧師をあきらめて、俺はブルーズを伝道するんだと曲が締めくくられるのです。全編サン・ハウス翁のドブロ弾き語りで、リズムは、胴を手で叩くのと足踏みです。スライド奏法は弦を揺らす、という先入観も壊されます。右手で弦をバチンバチンとはじく奏法なんて知りませんでした。
最初聴いたとき、失礼ながらお経のようだと思いました。起承転結ないし、同じフレーズの繰り返しだし。今では愛聴盤。ハウス翁の声は、村一番の歌い手爺さんが盆踊りで三階節を唄っていた自分の幼少期を思い出させます。戦前ブルーズに興味があっても、コアなブルーズ・ファンでないわたしにとって、なかなか入っていけない理由が音質の問題です。チリチリしたノイズの向こうに不安定なヴォリュームで聞こえる声やギター。正直集中力が必要です。このCDは、チャーリー・パットンと並ぶレジェンドが65年に残した鮮烈な録音という点でとても入りやすい。奇蹟のようなものです。
この人は、第二次大戦後20年も音楽業界から姿を消していたそうです。このレコードは、ブルーズ研究家によって彼が生きていることが確認され、昔の曲を思い出して演奏したもの。ハウス翁は曲を忘れていて、キャンド・ヒートのアル・ウィルスンが、じいさん、昔はこう歌っていたぜとレコードを聴かせながら再現させたようです。2022.07.11