GYROSOPHY

ラトビア出身プログレ・バンド、15年作4th、時代とジャンルを軽々と超え、ラトビアならではの民族音楽フレイヴァーを注入し、ヌケのいいヘヴィかつポップなプログレへと仕立たセンス抜群の傑作

91年結成、バルト三国ラトビア出身のプログレ・グループ、4作目となる15年作。時代を軽やかに超え、70年代プログレ的幻想性、80年代ロック的なエレクトリック感、モダンなヘヴィネスをごちゃ混ぜにしつつ、プログレ、ヘヴィ・ロック、クラシック、民族音楽、ジャズ/フュージョンなどといったジャンルの境目も軽快にとっぱらいつつ、ヌケが良くポップで洗練されたアンサンブルへと仕立てあげるセンスは特筆もの！アンサンブルの中心に陣取るのはギターとキーボードで、細かな変拍子で切り返しながら、コロコロと転がっていく演奏は、実に北欧らしくて心躍ります。70年代の東欧やロシアのプログレっぽいシンセの荘厳さもあったり、一筋縄ではいかない音はこれぞラトビアならではなのかも。英詞のヴォーカル＆メロディもフックがあって魅力的。音の質感は全然違うのですが、折衷センスはフィンランドのウィグワムあたりにも通じます。イタリアのAltRock/Fadingレーベル所属のモダンなジャズ・ロックのフィーリングを持ったバンドがウィグワムをカヴァーしたら、こんな音になりそう、いやいや、だけど民族音楽っぽさがあるし、う〜ん、やはり一筋縄ではいきません。オリジナリティ抜群、センス抜群、テクニックも申し分なし。これは素晴らしいバンドです！