TULLY

レイト60s〜70年代のオーストラリアを代表するアート・ロック/プログレ・バンド、70年のデビュー作

オーストラリアはシドニー出身、ビートルズの曲を30分近くの長尺バージョンで演奏したり、アルバート・アイラーのフリー・ジャズを独自解釈して演奏したり、60年代末においてオーストラリア随一の先進性を持ったバンドと評されるようになったサイケ/プログレ・バンド。70年のデビュー作。ピーター・ハミルを彷彿させるドラマティックな男性ヴォーカル、淡いトーンで鳴り響くオルガン、フリーキーにうごめくサックス、ところかまわず圧倒的な手数でシャープに疾走するドラム。初期VDGGやソフト・マシーンやゴングあたりに通じるセンスを持ったバンドが同時期のオーストラリアにも居たとは。2曲目以降は、プログレ度は収まり、ソフト・ロックとも言える洒脱なサイケ meets ジャズなポップを聴かせて、これまたクール。ピアノとフルートによる静謐でいて洒脱な2曲目、素っ頓狂なホーン・セクション、朗らかな男性ヴォーカルに和む諧謔ポップの3曲目など、オシャレさと一筋縄ではいかなさのバランスが絶妙。あやまってオシャレな女の子を好きになってしまって、え、プログレ好きなの？って引かれてしまったら、このCDを貸してあげましょう。きっと見なおしてくれるはずです。オーストラリアが誇るアート・ロックの名作です。