2019年12月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
スウェーデンの東側に位置し、北欧で唯一王様が居ない国、フィンランド共和国。
60年代後半にデビューし、英VIRGINから世界デビューも果たしたWIGWAMを筆頭に、ビートルズなどの英米ロックをベースにジャズや北欧トラッド音楽をブレンドしたファンタスティックなサウンドを鳴らすグループが多数生まれました。
リリカルなプログレ・グループから、ブルージー&ハードなグループ、90年代以降の新鋭グループまで、英米ファンならオオッとなること間違いなしな好作品をセレクトしてご紹介いたします。
それでは、「これぞムーミン谷プログレ!」と言えるフィンランドの幻想プログレの世界をどうぞご堪能ください!
フィンランドを代表するグループといえばこれですよね。ジョン・レノンとリチャード・シンクレアとマイク・オールドフィールドとアル・クーパーがセッションしたら、って感じ?
英国人らしいひねりあるポップ・センスを持ったJim Pembrokeのメロディ・センスと、プログレ~ジャズ~フュージョンのセンスが効いたエスプリに富んだアンサンブル。北欧が世界に誇るニッチ・ポップの逸品ですね。
ペッカ・ポーヨラとマイク・オールドフィールド。フィンランドとイギリスが誇る知性派であり音の魔術師と言える2人の名手との豊かな出会い。一級の工芸品のような切れ味を感じることができる名品ですね。
これぞムーミン谷プログレ!牧歌性と狂気が共存したようなサウンドは、まるで白夜のごとし。
ジャケ通りの幻想的な質感に包まれつつ、各楽器が白熱のソロを繰り広げスリリングに疾走していくジャズ・ロック・サウンドが見事。79年フィンランド産、北欧フュージョン/ジャズ・ロックの知られざる逸品!
優美に奏でられるピアノやフルートが編み上げるファンタスティックな音のタペストリー。北欧はフィンランド生まれの愛らしすぎるシンフォ名作。
ジャケット通り宇宙を漂っているのような心地よい浮遊感と、リリシズム溢れるメロディに酔いしれます。フロイドのようなドラマチックさにほんのりソフト・サイケテイストを添えた北欧シンフォ、唯一作にして傑作!
ここまでフィンランドのファンタスティックなプログレを特集してまいりました。フィンランドには、ブルージー&ハードなグループも魅力なんですよね。ここから4バンド紹介してまいりましょう。
このバンドもフィンランドでは有名ですね。ジェスロ・タルにも通じるいなたいトラッド・ロックで幕を開けますが、徐々にサックスとファズギターが暴れだしてクリムゾンばりに強度と重量感が増していきます。ジャケ通りの混沌が渦巻くフィンランド・プログレの怪作。
この1曲目、間違いなく北欧ジャズ・ロック屈指の名曲だろうな…。天才ギタリストJukka Tolonenによる、サイケとブルースを折衷したようなスリリングかつ奔放なギタープレイに痺れます!
ムーミンの国には、こんなサイケでジャジーなハード・ロックもあったのか!!
これ、キング・クリムゾン「21世紀の精神異常者」をギター・トリオ編成でやったような感じで、もう悶絶っ!
ここからは、往年のグループのDNAを受け継ぐ新鋭から4バンドをご紹介してまいりましょう。
オルガンやメロトロンを筆頭に、70年代ロックへの憧れを滲ませたヴィンテージ・プログレを鳴らすフィンランド新鋭。派手なサウンドではありませんが、初期BEARDFISHなんかを思い出す懐の深いサウンドが◎!
ジェネシス、ジェントル・ジャイアント、XTC、ラッシュ、そしてクラシック音楽や民族舞踏音楽のエッセンスまでをイマジネーションたっぷりにまとめ上げるこのセンス、只事でありません。フィンランド随一の個性派プログレ新鋭による渾身の2015年作!
ゴリゴリと肉厚感あるサウンドで疾走するプログレ・ハードがとにかく爽快感抜群。イングヴェイばりの超速弾きも交える熱くテクニカルなフィンランド出身ギタリスト/マルチ・プレイヤーによる快作!
フィンランドの透明感のあるフィメール・ヴォーカルとクロス・オーヴァー感覚が印象的な、新鋭プログレッシヴ・バンド、11年3rd!キーボードとサックスがメロディ・ラインを牽引するサウンドに北欧特有の叙情が舞い上がる!
フィンランドでロックと言えば、冒頭で取り上げたWIGWAM。メンバーの関連作を聴き進めば、さらにフィンランド・ロックの素晴らしさに心奪われることでしょう。
こちらのジュークボックスもどうぞ!
キャメルをはじめ、ファンタスティックなプログレのファンはこちらのジュークボックスもあわせて是非!
00年に結成され、06年にデビューしたフィンランドのプログレ新鋭グループ。2015年の3rdアルバム。クラシック音楽の格調高さや祝祭感、民族舞踏音楽の悲哀感、ジェネシスやジェントル・ジャイアントのDNAを継いだ幻想性と変拍子たっぷりの器楽性、10ccやXTCや80年代ネオアコを彷彿させるポップ・フィーリング、ラッシュに通じるエッジとスピード感を丁寧に組み上げたサウンドはかなり個性的。ジェネシスとXTCがブレンドしたようなヴォーカルも良いし、多声コーラスも見事だし、メロディもフックに富んでいます。透明感あるトーンの流麗なピアノ、70年代プログレ直系のきらびやかなキーボード、スティーヴ・ハケットゆずりのリード・ギターと気品あるアコギの爪弾き、めくるめく変拍子アンサンブルなど、卓越した演奏テクニックとイマジネーションいっぱいのアレンジ・センスも特筆もの。70年代と80年代を同じ地平で捉えられる00年代世代だからこそ鳴らせるプログレッシヴ・ロックと言えるでしょう。これは名作です。
クリームやレッド・ツェッペリンのヘルシンキ公演に刺激を受け、ヘヴィなブルース・ロックを目指したフィンランドを代表するバンド。70年の名作『Buttocks』と同年に録音されたアンダーグラウンド映画のサントラで、実質1stと言える作品。ボコスカとエネルギッシュに手数多く叩きまくるタイト&ダイナミックなドラム、重低音を響かせゴリゴリとアグレッシヴに突き進むランニング・ベース(カッコ良い!)による屈強のリズム隊を土台に、エッジの立ったスリリングなリフからセクシー&エモーショナルなリードまでギターが冴え渡ります。3曲目なんかキング・クリムゾン「21世紀の精神異常者」をギター・トリオ編成でやったような感じでもう悶絶もの。これはクール!
15年にデビューしたフィンランド出身の新鋭プログレ・バンド、18年の2nd。オルガンやメロトロン(疑似?)を筆頭に、70年代ロックへの憧れを滲ませたヴィンテージ感たっぷりのプログレ。そこまで派手に技巧が炸裂することはありませんが、スタイルとしてはスウェーデンのBEARDFISHに近いものを感じさせます。一方でポスト・ロック調のモダンなパートがあったり、すこし野暮ったいフィンランド語ヴォーカルがとても愛すべきだったり、新旧いろんな要素が混合しているのですが、雑多な印象はなく流れるように進行するアンサンブルに、優れたバランス感覚とサウンドセンスを発揮。数あるヴィンテージ志向の北欧バンドの中でも、これ見よがしな感じがなく自然体なサウンドで聴かせる好盤です。
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