2018年9月28日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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本記事は、netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第48回 ONE SHOT / Live In Tokyo (France / 2011)に連動しています
プログレッシブ・ロックの歴史において最も有名な「来日公演を収めたライブ・アルバム」は、U.K.による『Night After Night』でしょう。セカンド・アルバムである79年作『Danger Money』発表後の来日公演の中から、中野サンプラザと日本青年館でのパフォーマンスを収録しており、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ヴァイオリンも弾きこなすキーボーディストEddie Jobson、ドラマーTerry Bozzioのトリオによる名演が、時代を超えて世界中のプログレッシブ・ロック・ファンを魅了してきました。なおU.K.は2013年にも、2011年録音のライブ・アルバム『Reunion – Live In Tokyo』をリリースしています。
カンタベリー・ロック・アーティストの中にも、来日公演をライブ・アルバムとして発表した人物が存在します。CARAVAN、MATCHING MOLE、HATFIELD AND THE NORTH、NATIONAL HEALTHといったカンタベリー・シーンの重要グループに参加してきたギタリストPhil Miller率いるIN CAHOOTSは、91年に来日公演(渋谷Club Quattroと大阪Club Quattro)を行いました。時期的に91年作『Digging In』からのナンバーを中心に構成されているものの、87年作『Cutting Both Ways』や88年作『Split Seconds』からの楽曲も披露されています。ドラマーPip PyleやキーボーディストPeter Lemer、サックス奏者Elton Deanらも健在。
KING CRIMSONやROXY MUSICへの参加で知られる、ブリティッシュ・プログレッシブ・ロック・シーンを代表するベース・ヴォーカリストJohn Wettonは、ASIAやJOHN WETTON AND GEOFFREY DOWNES名義で、あるいはSteve Hackettのツアー・メンバーとしても「来日公演を収めたライブ・アルバム」に関わりました。ソロ・アーティスト名義では、1997年10月5日に行われた東京公演(渋谷Club Quattro)の模様を収めた『Live In Tokyo 1997』がリリースされています。U.K.の「In The Dead Of Night」や「Rendez-Vous 6:02」、ASIAの「Sole Survivor」や「Heat Of The Moment」などを収録。
GENESISのギタリストSteve Hackettは、96年にGENESISの楽曲を再録音した『Genesis Revisited』をリリースし、来日公演(東京厚生年金会館)を行いました。ツアー・メンバーはベーシストJohn Wettonと管楽器奏者Ian McDonaldというビッグ・ネームに加え、GENESISのサポート・ドラマーとして知られるChester Thompson、そしてANDERSON BRUFORD WAKEMAN HOWEのサポート・メンバーとして名前が登場するキーボーディストJulian Colbeckという布陣となっています。収録楽曲はGENESISの楽曲を中心としていますが、Steve Hackettのソロ・アルバム、さらにKING CRIMSONやASIAのナンバーまで演奏。なお、Steve Hackettは2016年にも『The Total Experience Live In Japan 2016』と題された「来日公演を収めたライブ・アルバム」を発表しています。
プログレッシブ・ロック・シーンにおける女性ヴォーカル・グループの象徴であるRENAISSANCEは、17年ぶりとなる2001年作『Tuscany』を発表後に初来日公演(東京厚生年金会館)を行いました。70年代に彼らが発表した名盤の数々から「Ashes Are Burning」を筆頭に代表的な楽曲が選ばれている他、『Tuscany』や、ヴォーカリストAnnie Haslamの2000年作『The Dawn Of Ananda』からの楽曲も演奏されています。また、Annie Haslamが89年作『Annie Haslam』でカバーしたことでも知られるMike Oldfieldの名曲「Moonlight Shadow」まで披露されました。
2017年にこの世を去ったギタリストAllan Holdsworthにとって初めての公式ライブ・アルバムとなったのは、2002年の来日公演(六本木Pit Inn)を収めた『All Night Wrong』でした。その長いキャリアにもかかわらずライブ・アルバムをリリースしなかった背景には、彼の完璧主義が垣間見えるでしょう。ベーシストJimmy Johnson、そしてドラマーChad Wackermanとのトリオ編成で、終始テクニカルな演奏を繰り広げています。なおAllan Holdsworthは2003年にも、90年の来日公演(六本木Pit Inn)を収めた『Then! Live In Tokyo 1990』を発表しています。
KING CRIMSONのデビュー・アルバムである69年作『In The Court Of The Crimson King』に参加した管楽器奏者Ian McDonaldとドラマーMichael Gilesが中心となり、70年代のKING CRIMSONを再現させているのが21ST CENTURY SCHIZOID BANDです。2002年に行われた来日公演(新宿厚生年金会館)での選曲は、デビュー・アルバム『In The Court Of The Crimson King』、70年のセカンド・アルバム『In The Wake Of Poseidon』、71年の4作目『Islands』からのKING CRIMSONナンバーを中心に置いたもの。なお、21ST CENTURY SCHIZOID BANDに参加したJakko Jakszykは、2013年に本家KING CRIMSONに加入しました。
77年作『Garden Shed』がブリティッシュ・プログレッシブ・ロックの傑作に数えられるENGLANDは、2006年に来日公演(川崎Club Citta’)を行いました。数多くのスタジオ・アルバムを発表してきたアーティストによるライブ・アルバムの場合、代表的な楽曲が優先的に選ばれることと引き換えにマニアックな楽曲が選曲から外れてしまうことも少なくありませんが、唯一のスタジオ・アルバムをリリースし70年代を終えたENGLANDは名盤『Garden Shed』をほぼ全曲再現し、往年のプログレッシブ・ロック・ファンを喜ばせました。また、会場限定アイテムとして、75年録音の『Imperial Hotel』が蔵出しされるサプライズもあったようです。
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KING CRIMSONで製作を共にしたJohn WettonとBill Brufordが、インプロヴィゼーション主体のキーボード・ロックグループを画策し、ROXY MUSICでの交流からEddie Jobson、そしてJohn Wettonのソロ作に参加したAllan Holdsworthを迎えて結成されたスーパー・バンドの79年ライブ作。キーボード・トリオ編成となった彼らの日本でのライブを収録した作品であり、デビュー作から4曲、2ndから3曲、そして新曲2曲で構成されています。プログレッシブ・ロックに熱心であった日本のファンの前で演奏される彼らの代表曲はどれもダイナミックな素晴らしいものであり、プログレッシブ・ロック史上に残る名ライブ作と言えるでしょう。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、エディ・ジョブソンによるリマスターが施された30周年記念盤、ミニポスター付き仕様、定価3143+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
2枚組、スリップケース付き仕様(画像はジャケットです)、定価3619+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、若干カビあり、スリップケース付いていません
2001年3月16日、東京厚生年金会館でのライヴ。残念ながらフル収録ではないようですが、往年の名曲、アニーのソロ名曲、トスカーナ収録の名曲と、さすがの名曲づくし。心配されていたアニーの声も全く衰えが感じられず、一曲目の「Carpet Of The Sun」から、あの伸びやかで透き通ったハイトーンに感動しきりです。サウンドの方も文句無しで、特にキーボードワークが素晴らしく、往年のオーケストラとの共演ライヴにも劣らない重厚なサウンドを聴かせています。ライヴ盤の「傑作」と言って差し支えないでしょう。
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