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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』連動 新世代プログレッシブ・ロックと女性ミュージシャン Volume 1

本記事は、netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第44回 KOTEBEL / Concerto For Piano And Electric Ensemble (Spain / 2012)に連動しています

プログレッシブ・ロック・シーンにおける女性ミュージシャンと言えば、RENAISSANCEのAnnie HaslamやCURVED AIRのSonja Kristinaに代表される「ヴォーカリスト」の印象が強いことでしょう。事実、新世紀以降のシーンにおいても「女性ヴォーカリスト」というキーワードは、プログレッシブ・ロックのサブ・カテゴリーのひとつと言えるほど大きな注目を集めています。しかし、1990年代初頭のプログレッシブ・ロック復興に多大なる貢献を果たしたスウェーデンのANEKDOTENやANGLAGARDがそうであったように、新世代のプログレッシブ・ロック・グループの中には、「非ヴォーカリスト」の女性ミュージシャンを擁する例も散見されるようになってきました。


ANGLAGARD / Viljans Oga (Sweden / 2012)

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鍵盤楽器と共に女性ミュージシャンの比率が高いのが管弦楽器です。例えばクラシカルな教育を受けた女性ヴァイオリン奏者がプログレッシブ・ロックに接近し、バンド・サウンドに艶やかな音色を加えるといった例は、プログレッシブ・ロック・シーンではしばしば見受けられることでしょう。そんな中で、女性フルート奏者Anna Holmgrenの存在意義は、個人名が取り上げられることこそ少ないものの別格です。80年代に死滅したプログレッシブ・ロック・シーンを復興させるという大役を果たしたスウェーデンの伝説的グループANGLAGARDの創設メンバーであるAnna Holmgrenは、2012年のANGLAGARD再結成にも参加し、北欧の冷ややかな質感を伝えるフルートの演奏を残しています。ANGLAGARDは2013年に初来日公演を行いました。


ANEKDOTEN / Until All The Ghosts Are Gone (Sweden / 2015)

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90年代のプログレッシブ・ロック復興に大きく貢献したスウェーデンのANGLAGARDとANEKDOTENには、共に女性の楽器奏者が在籍しています。ANGLAGARDにはフルート奏者Anna Holmgren、そしてKING CRIMSONのフォロワー・グループとして登場したANEKDOTENにはメロトロンを担当するキーボーディストAnna Sofi Dahlbergが在籍し、両グループの作り上げた傑作を契機として、プログレッシブ・ロック・シーンは息を吹き返したのでした。97年に初来日公演を果たしたANEKDOTENですが、その後も複数回の来日を経験しており、中でも2005年公演では彼らのために3台のメロトロン(Mellotron M400S、Mellotron Mk VI、Novatron)が準備され、圧巻のステージが繰り広げられました。



AGUSA / Agusa (Sweden / 2017)

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垢抜けないながらも味わい深いサウンド・メイクで70年代の北欧プログレッシブ・ロックを代表するのがスウェーデンのKEBNEKAISEです。ギター、ベース、キーボード、ドラムという4人編成のAGUSAは、KEBNEKAISEから強い影響を受けたトラディショナルな音楽性を武器に2014年作『Hogtid』でアルバム・デビューを果たしましたが、セカンド・アルバムとなる2015年作『Tva』で女性フルート奏者Jenny Puertasを正式メンバーに迎え入れました。Jenny PuertasはAGUSAの持ち味である素朴なメロディーを引き立たせつつ、セッション色の強いサウンドにも見事に順応しています。



IL TEMPIO DELLE CLESSIDRE / Il Tempio Delle Clessidre (Italy / 2010)

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イタリアン・プログレッシブ・ロックの代表格グループMUSEO ROSENBACHによる73年の傑作『Zarathustra』収録楽曲をグループ名に冠し話題となったのが、女性キーボーディストElisa Montaldoを中心とするシンフォニック・ロック・グループIL TEMPIO DELLE CLESSIDREです。彼らは2010年、MUSEO ROSENBACHのヴォーカリストであるStefano“Lupo”Galifiを擁した直系グループとしてアルバム・デビューを飾り、プログレッシブ・ロック・ファンの注目を集めました。MUSEO ROSENBACH再結成のためStefano“Lupo”Galifiが脱退した後も、Elisa Montaldoによるシンフォニックなサウンドが揺らぐことはありません。




UNREAL CITY / La Crudelta Di Aprile (Italy / 2013)

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HOSTSONATENやLA MASCHERA DI CERAなど数多くのプロジェクトで活躍する、新世紀のイタリアン・プログレッシブ・ロックを代表するミュージシャンであるFabio Zuffantiに見出されアルバム・デビューを果たしたのが、PINK FLOYDからの影響を公言する女性ギタリストFrancesca Zanettaを擁するUNREAL CITYです。サウンドの方向性は、Fabio Zuffantiのプロデュースが行き届いたヴィンテージなものであり、ハモンド・オルガンやモーグ・シンセサイザー、メロトロンなどのレトロな機材を取り入れたシンフォニック・ロックを展開。驚くべきは、本作が若干20代のミュージシャンたちの手によって製作されているということでしょう。



CONQUEROR / Stems (Italy / 2014)

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リード・ヴォーカルも兼任する女性キーボーディストSimona Riganoを擁するイタリアのCONQUERORは、2003年にレコード・デビューを飾り新世紀のプログレッシブ・ロック・シーンを駆け抜けてきました。彼らは技巧的でありながらもマイルドさに重点を置いたシンフォニック・ロックを奏でており、ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックで例えるならばGENESISあるいはCAMELに近い音楽性を持っています。耳に残るのはイタリアン・シンフォニック・ロック・グループならではと言える叙情的なメロディーでしょう。女性ミュージシャンのエレガンスが、バンド・サウンド全体に浸透しているような印象を持ちます。



UBI MAIOR / Incanti Bio Meccanici (Italy / 2015)

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KING CRIMSONのトリビュート・アルバムへの参加や、イタリアン・プログレッシブ・ロックの名グループBIGLIETTO PER L’INFERNOのトリビュート・コンサートに出演するなど経験を積み、2005年にレコード・デビューを果たしたのがイタリアン・シンフォニック・ロック・グループUBI MAIORです。2015年作『Incanti Bio Meccanici』には、同グループのキーボーディストGabriele ManziniによるARCHANGELや、同郷シンフォニック・ロック・グループDAALのアルバムでも名前を見つけることが出来る女性ギタリストMarcella Arganeseが新たに参加し、イタリアらしいヴィンテージ・プログレッシブ・ロックの構築に貢献しています。



PURE REASON REVOLUTION / The Dark Third (UK / 2006)

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新世代プログレッシブ・ロック・グループPURE REASON REVOLUTIONは、ウエストミンスター大学の学生たちによって結成されたロック・グループSUNSET SOUNDを母体としています。女性ベーシストChloe AlperはSUNSET SOUND時代からグループに関わり、プログレッシブ・ロック、ポスト・ロック、サイケデリック・ロック、エレクトロ・ミュージックなどを呑み込んだ音楽性に多大なる貢献を果たしています。彼らのデビュー・アルバムとなった2006年作『The Dark Third』は、GENTLE GIANTやRUSH、PORCUPINE TREEやDREAM THEATERらの作品を手掛けたことで知られるPaul Northfieldをプロデューサーに迎え製作されました。



OZRIC TENTACLES / Paper Monkeys (UK / 2011)

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70年代にHAWKWINDやGONGが礎を築いたサイケデリック・スペース・ロックの音楽性は、80年代になるとOZRIC TENTACLESへと受け継がれていきました。シンセサイザーも操る女性ベーシストBrandi WynneがOZRIC TENTACLESに加入したのは2004年作『Spirals In Hyperspace』ですが、2011年作『Paper Monkeys』以降はEd Wynneと共にグループのプロデューサーとしてもクレジットされています。Brandi Wynneによるベース・サウンドは、OZRIC TENTACLESのトランス・ミュージックにとって不可欠なものとなっています。


THE CRIMSON PROJEKCT / Live In Tokyo (UK / 2014)

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80年代のKING CRIMSONを語る際に外すことの出来ないミュージシャンであるギタリストAdrian BelewとベーシストTony Levinを中心に展開されているTHE CRIMSON PROJEKCTには、女性ベーシストJulie Slickが参加しています。彼らはオフィシャル・ブートレッグを複数枚リリースしていますが、2013年の来日公演からベスト・テイクを選んだ『Live In Tokyo』にも、往年の名曲たちが収録されています。ちなみに、Julie Slick はADRIAN BELEW POWER TRIOのメンバーとしても活動しており、THE CRIMSON PROJEKCT人脈を動員したソロ・アルバムも発表しています。



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