2017年7月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは、スタッフ佐藤です。
今回ご紹介していきたいミュージシャンは孤高のロッカー、ボブ・シーガー。
1945年デトロイトに隣接するミシガン州ディアボーン生まれ、今も現役で活動します。
日本では過小評価、というか存在すらどれほど知られているか怪しいほどなのですが、
母国アメリカでは国民的と言っていいほどの知名度と人気を誇るミュージシャンなんですよね。
彼とよく比較されるのがブルース・スプリングスティーン。
アメリカの若者の心情を代弁するようなメッセージ性を帯びた曲を数多く発表した、
いわゆるハートランド・ロッカーの代表的ミュージシャンとして2人は並び立ちます。
ちなみに2人は1980年・2016年の2度、スプリングスティーンのミシガン公演のゲストとしてシーガーが参加するなど、互いにリスペクトし合う間柄。
さて、80年代には多くのヒットも飛ばしたことで一躍ロックスターへと躍り出たシーガーですが、
60~70年代の作品ではサイケデリック・ロックからブルース・ロック/スワンプ・ロックへと移り変わっていく、
アメリカン・ロックの変遷を体現した味わい深い作品を多く残しています。スタッフ佐藤的にはこの時期のグルーヴィーな旨味あるサウンドが堪りません!
そんなわけで、彼の60~70年代の代表的作品をその音楽性の変遷に注目しながら追いかけてみたいと思います!
まだ15~6歳だった1961年にはすでにデトロイト近辺のいくつかのローカル・バンドに参加し音楽活動を開始。66年に自身がフロントマンとして率いるBob Seger And The Last Heardを結成し66~67年にかけて数枚のシングルを発表します。本作は、同バンドがBOB SEGER SYSTEMへと改名しリリースした68年作で、ボブ・シーガーのアルバム・デビューとなった記念すべき作品。
バンドの2ndシングルとして出された「RAMBLIN’ GAMBLIN’ MAN」が大ヒットを記録し、彼の初期キャリアにおける代表曲となりました。アルバム全体としてはファズ・ギターが炸裂するサイケ・ヘヴィ・ロックからアシッド臭漂うフォーク・ロックまで、60年代末の熱気やを封じ込めたようなサウンドを聴かせています。そして全編通してシーガーのソウルフルなヴォーカルはただただ存在感抜群。
前作でのサイケデリックな手触りを残しながらも、ブルース・ロック/スワンプ・ロック的と言えるアーシーなサウンドをベースに据えた69年作。軽快なスワンプ・ロック「NOAH」で幕を開けますが、シーガーの最大の武器と言える強靭なシャウト・ヴォーカルが素晴らしい以降のナンバーも必聴です。
胸に迫るオルガンとピアノ、ツボを抑えたタイト&メロウなギターワーク、そしてブルージーでタメの効いたリズム隊。この70年作の芳醇なアンサンブルもまた絶品の味わいがあります。一方でソリッドなハード・ロック・ナンバーも多く、これはツェッペリン・ファンにも響くこと間違い無し。ブルース・ロックからハード・ロックまでをこのレベルで歌いこなせるシーガーの喉は本当に素晴らしい!
ソロ名義での71年作は、バンド時代とは一転ギターとピアノによる弾き語りスタイルを主としたスワンプ・ロック。憂いのあるメロディ、土臭さの中にも気品を感じさせる洗練されたコード・プログレッションが絶品で、弾き語りとは思えないほどに豊かな味わいが滲み出てくるようです。そしてこの野性味と繊細さを併せ持ったヴォーカルの圧倒的な存在感たるや…!
72年作。相変わらずの抜群にグルーヴィーで骨太な演奏、ソウルフルで哀愁溢れるヴォーカル、メロウかつキャッチーなメロディ。ドライヴ感いっぱいの曲も、ブルージーでルーズな曲も、物悲しくも力強いバラードも、FREE「Stearler」のカバーも、どの曲もシーガー印の最高に格好良い名曲揃い!名盤!
74年作。ヌケが良いリズム&メロウなソロともに魅力的なギター、スワンピーなホーンをフィーチャーしたアメリカン・ロック。スピード感あるノリの良いナンバーが多く、従来に増して勢いある演奏が印象的ですが、そこに乗るシーガーのヴォーカルももちろん絶好調です。多くの人が思い浮かべる「アメリカン・ロック」像を見事に体現した一枚と言えるのではないでしょうか。
キャッチーな極上メロウ・スワンプを聴かせるこの75年作も必聴。初期ほどヴォーカルのパワフルさを押し出したナンバーは多くないですが、ぐっと抑えた歌唱からは大人の憂いと哀愁が漂ってくるようになりました。円熟の境地というやつでしょうか。西海岸勢にも通じる爽やかさはドライヴにももってこいですね!
おそらくボブ・シーガーをご存知の多くの人が思い浮かべるのが、このBOB SEGER & THE SILVER BULLET BAND名義の作品ではないでしょうか。
基本的には前年の『BEAUTIFUL LOSER』を踏襲するメロウ・スワンプなのですが、郷愁を誘うようなカントリー・タッチがどうにも泣かせる一枚となっています。
ライヴ盤を挟んだこの78年作が、現在CD化されているボブ・シーガーの70年代作品としては最後の作品。個人的には、初期の持ち味だったシャウト・ヴォーカルとはまた異なる、彼のヴォーカリストとしての巧さが凝縮された作品だと感じます。従来のメロウで繊細なナンバーからノリの良いロックン・ロール・ナンバーまでを巧みに歌いこなすヴォーカリスト・ボブ・シーガーのカッコよさは本作で堪能したいところ。
孤高のアメリカン・ロッカー、ボブ・シーガーの魅力を味わっていただけたでしょうか。
彼の作品を聴けば聴くほど、これだけの実力派が日本ではほとんど知られていないなんてと嘆かずにはいられません。
今後も隠れた名ミュージシャンにスポットを当てていければと思います!
72年作。抜群にグルーヴィーで骨太な演奏、ソウルフルで哀愁溢れるヴォーカル、メロウかつキャッチーなメロディ。絶品スワンプ・ロックドライヴ感いっぱいの曲も、ブルージーでルーズな曲も、物悲しくも力強いバラードも、FREE「Stearler」のカバーも、どの曲も最高に格好良いです
母国アメリカでは絶大な人気を誇り、ブルース・スプリングスティーンとも並び称されるBOB SEGERによるグループ69年作2nd。「HEY JUDE」の最後の部分をスワンピーにしたようなキャッチーな「NOAH」で幕開け。いきなりアグレッシヴなリフと熱いシャウト・ヴォーカルで畳みかける2曲目「Innervenus Eyes」へと続き、素晴らしい喉を聴かせるブルージーな「LONELY MAN」へと続く怒濤の展開。ひなびたオルガンとメランコリックなメロディがたまらない「Lonliness Is A Feeling」へ。それ以降もフックに富んだ魅力的な楽曲がずらり。サイケデリックなブルース/スワンプ・ロックとしてハイ・レベルな名作。
母国アメリカでは絶大な人気を誇り、ブルース・スプリングスティーンとも並び称されるBOB SEGERによるグループ70年作3rd。男臭く哀愁いっぱいのメロディと絞り出すようなシャウト・ヴォーカルをフィーチャーしたスケールの大きなアメリカン・ロック。胸に迫るオルガン&ピアノ、ツボを抑えたタイト&メロウなギター、タメの効いたリズム隊。芳醇なアンサンブルもまた絶品の味わい。ツェッペリンばりのハード・エッジなナンバーも最高。それにしても素晴らしい喉してます。
68年作。ファズ・ギターが炸裂するサイケ・ヘヴィ・ロック、アシッド臭漂うフォーク・ロックが印象的。ソウルフルなヴォーカルは存在感抜群。名作。
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