2018年9月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,日々是ロック
アメリカはフロリダ州にあるCrossroad Productions Records(以後Crossroad Productions)は、サザン・ロックばかりをCDリイシューしているレーベルです。
超メジャー・アーチストの作品はリリースしていませんが、セミA級のバンドのものから、1枚アルバムを出して消えてしまったローカル・バンドのものまで、コンスタントに発掘活動を続けています。
カケレコは、Crossroad Productionsからのリイシューものをまめに入荷していますので、この機会にいくつか秀作をおススメしようと思います。
ちなみにレーベルのトレード・マークは、なんとというか、やっぱりというか「南軍旗」(!!)です。
まずは、Crossroads Productionsが手掛けた中でもメジャーなバンドのひとつGRINDERSWITCHからまいりましょう。
誰でも知っているメジャーなサザン・ロック・バンド「ALLMAN BROTHERS BAND」のローディー達によって結成されたツイン・ギター体制の4人組サザン・ロック・グループがGRINDERSWITCH(グラインダースイッチ)。オールマンと同じカプリコーン(Capricorn Records)から76年にリリースされた3rdがこれです。
ベース兼ヴォーカルのJon Dan Pettyの粘り強い歌声とファンキーなブギが炸裂するサザン・チューンの数々が今も多くのコアなファンから支持され続けています。
GRINDERSWITCHと同様、Crossroad Productionsはカプリコーンからの作品のリイシューを、ほかにもいくつか手掛けています。
オクラホマ出身の5人組TWO GUNSは、カプリコーンよりファースト&ラスト・アルバムを79年にリリース。その後は音沙汰なしとなっていましたが、2009年Crossroad Productionsによって掘り起こされました。
タメの効いたグルーヴ、豪快に炸裂するツイン・ギター、男臭いヴォーカル、哀愁いっぱいのキーボード、スワンピーなホーン・セクション&女性コーラスが印象的で、楽曲、演奏ともにエネルギッシュで力がみなぎった快作です。
「Judgement Plea」
セカンド・アルバムまでカプリコーン所属だったHYDRAのサード・アルバム(ポリドールからリリース)もCrossroad Productionsからリイシューされています。
ジョージア出身の3人組。サウンド・スタイルはクラシックなサザン・ロックと言っていいでしょうか。ヴォーカリストの声が太くて渋い!ポリドールから出た今作がラスト・スタジオ・アルバムとなってしまいましたが2010年にCrossroadが初CD化しました。
「ROCK THE WORLD」
上記HYDRAの場合は違いますが、いろんなバンドの唯一作を初CD化しているのもCrossroad Productionsの特徴でありウリです。こちらは71~72年にドラマー/ヴォーカルとして、90年代再結成時にはギターでLYNYRD SKYNYRDに参加したRickey Medlockeが率いたバンドの75年唯一作!
ザクザクと重厚にリフを刻みつつ、爽やかなメロディアスさに溢れたギター。FREEのポール・ロジャースも思わせるソウルフルなヴォーカル。思わず体が揺れるグルーヴィーかつ溌剌としたリズム隊!サザン・ロック的ヌケの良さもありつつ、英国ハード然とした叙情性湛えたサウンドが絶品です。
「Railroad Man」
英国的な作品といえばこんなバンドの71年唯一作もCrossroadよりリイシュー。後にカプリコーン・レーベルに所属しヒットを飛ばすサザン・ロック・バンド、STILLWATERの前身バンドです。
STILLWATERの前身ですが、こちらのグループはBS&Tばりのエネルギッシュなブラスが活躍する重厚なハード・ロック。しかも他の楽曲では英国Vertigoを思わせる荘厳なオルガンが鳴り響いたり、ジャジーなフルートが活躍する楽曲があったりと、まさに英国 meets 米国なサウンドを聴かせています。サザン・ロックではないですが、ハード・ロック・ファンは是非チェックして頂きたい傑作です。
「Away」
80年にマッスル・ショールズ録音のアルバムを出したJACKSON HIGHWAYの唯一作はこちら。
しとやかにキーボードが奏でられるAOR的なバラードもまた魅力的です。男臭いサザン・ロック・バンドが奏でるバラード。こういうのアメリカ人は好きですよね。でも、ジャケはださっ!
「Circles」
ノース・カロライナ出身5人組サザン・ロック・グループCOYOTEの74年リリース唯一作には元デレク・アンド・ザ・ドミノスのボビー・ウィトロック(Bobby Whitlock)が参加。
1曲目はあの「PETER GUNN 」のテーマのカバー(今作の表記ではPETER GUN)。
ヘンリー・マンシーニ作曲のビッグ・バンド・ジャズ・ナンバーを、ざくざくと刻むツイン・ギターのリフと、どっしりと安定したベース、手数の多いドラムスによってへヴィなロック・チューンに変身させました。ほかの収録曲も、ブルースというより上質なハード・ロック・テイスト。アルバム一枚けっこうしびれます。
「PETER GUN」
もう1枚、カバーから始まるアルバムを。
テキサス出身3ピース・へヴィ・ブルース・ロック・バンドMANDRAKEの78年リリースの唯一作『MANDRAKE』。
その1曲目はBarrett Strongというよりビートルズの「Money (That’s What I Want)」のカバー。これが絶品!
「Money (That’s What I Want)」
ファズ・ギターの尖ったカッティングとリフにドライブ感抜群のベース、そして安定感のあるドラムス。そこに伸びのあるヴォーカルが絡みます。ライヴでも当然しょっぱなにセットされたであろう、つかみはOKな1曲。本家を凌駕するほどの強烈なグルーヴ感のある今作は、数あるMoneyのカバーの中でも最も秀逸な作品のひとつと言っても言い過ぎではないでしょう。
そんなCrossroad Productions、近年ではさらに知る人ぞ知るニッチな自主制作盤の発掘に力を入れているようです。たとえばこのオクラホマ出身サザン・ロック・バンド80年唯一作。
うーん、このLYNYRD SKYNARDばりにキレまくるツイン・ギターと軽快なピアノのアンサンブル!サザン・ロック・ファンはもちろんのこと、ウィッシュボーン・アッシュあたりのファンも打ち抜かれるに違いありません。このテクニックと完成度で自主制作とは・・・。長い間眠っていたのが本当に惜しまれる出来です。
「Long Ol’ Lonesome Ride」
それから、こんなミシガン出身サザン・ハードの激レア盤も。
このバンドもサザン・ロックらしい切れ味鋭いツイン・ギターが特徴なのですが、それと同時にウェストコーストAORばりのメロウさ溢れる楽曲が素晴らしい!しっとりとしたヴォーカルや芳醇なオルガン、コーラスもいいですねえ。
「Forever」
どちらも自主制作とは思えぬレベルの高さ!さすがはCrossroad Productionsのお眼鏡にかなった作品というべきですね。
さらに彼ら、アメリカ以外の国のサザン・ロック・グループの作品のリイシューにも精力的です。
たとえばこれ↓ スウェーデンで、どアメリカンなサザン・ロックを奏でる現役5人組バンド85年リリースの唯一作。
ストックホルム発テキサス行ホットロッド!ちなみに、STEVE EASTSIDE なんてアメリカンな名前のメンバーはバンドにはおりません。
バンド名もそうですが、このバンドはサウンドやアティテュードもサザン・ロック・バンドのスタイルを忠実に踏襲しています。
なにせトラック1の曲名からして「Tequila Madness」!スウェーデンならアクアビットかスナップスでしょうが、そのサウンドもへヴィなギター・リフと少しハスキーな骨太ヴォーカルが印象的なZZ TOP的本格ブギー・ロックに見事に仕上がっています。
「Tequila Madness」
そのZZ TOPの「Balinese」をトラック10でカバーしていますが、本家のものがけっこうルーズなロックなのに対して、アップ・テンポでノリの良いロックンロールにアレンジし、オリジナルを凌駕するほどのドライブ感を出すことに成功しています。
大いにおススメ!食わず嫌いは損します。
ほかにも、まだまだ掘り出し物は多数! 下にリストを作成しました。Crossroadで出しているけど、ほかのレーベルでも出しているというバンドもありますが、そこはご愛嬌。
「CROSSROAD PRODUCTIONS」レーベルの在庫一覧へ
【関連記事】
米音楽サイトUltimate Classic Rockが選んだサザン・ロックの曲TOP10!
あえて「Free Bird」は外したそうです。では1位は??
———————————————————————–
米ジョージア州のハード・ロック・グループ、71年作唯一作。後にカプリコーンよりアルバムをリリースするキャッチーなサザン・ロック・グループSTILLWATERに発展するバンドとのことで、こちらもそういう感じかと思いきや・・・1曲目は男女コーラスが爽やかなウェストコースト・ロック風。しかし2曲目では、いきなりMOUNTAINばりの絡みつくようなギター・リフが炸裂!?しかもそこへBS&Tばりのエネルギッシュなブラス隊や豪快なオルガンまで絡んできちゃうし、ヴォーカルはめちゃくちゃ野太いしで驚愕!さらに他の曲を聴いていくと、繊細なフルートやアコギを取り入れた陰りと叙情満ち溢れる楽曲があったり、英国Vertigoあたりを彷彿とさせる荘厳なハモンドが鳴り響いたり、ヒープやパープルばりの重厚&エネルギッシュなオルガン・ロックがあったりと・・・「英国オルガン・ロック」の香りがプンプン。しかしながらヴォーカルやブラスの豪快さは米国的で、まさに両者のいいとこ取りと言えるサウンドを聴かせています。これはズバリ隠れた傑作!英米ハード・ロック好きにオルガン・ロック好き、ブラス・ロック好きなど様々なファンにおすすめしたい一枚です。
GRINDER SWITCH好きに大推薦!米アーカンソー出身の泣きのフレーズキメまくるサザン・ロック、79年唯一作がこちら!冒頭から男の哀愁を感じさせるツイン・ギターのフレーズと軽やかなピアノ、オルガンが切なさ全開の男泣きサザン・ロック・チューンを展開!一転、落ち着いたバラードの楽曲では、アコギのアルペジオとレイドバック感のあるスワンピーなギター・フレーズに、オルガンの音色がネバっこく絡みつき、雄弁なツイン・ギターのソロ・パートへと流れ込んでゆく様がまさにザッツ・アメリカン・サザン・ロック!ALLMAN BROTHERS BAND、HYDRAと言った、カプリコーン・レーベルのファンにも強くお薦めしたい作品ですね!
CROSSROA PRODUCTIONS5804(CROSSROAD PRODUCTIONS)
レーベル管理上、ジャケに若干不備がある場合がございます。ご了承ください。
CROSSROA PRODUCTIONS5804(CROSSROAD PRODUCTIONS)
ジャケットに若干折れがあるため、値引きセール品になります。
ALLMAN BROTHERS BANDのローディー達によって結成された、ツイン・ギター体制の4人組サザン・ロック・グループ。カプリコーンから75年にリリースされた2nd。ピアノ、フィドル奏者がゲスト参加。ブルース臭さや泥臭さはあまりなく、伸びやかなスライド・ギターを基調に、軽快なピアノ&フィドルをフィーチャーした、カラっとノリの良いサウンドが印象的。イギリスの有名DJであるジョン・ピールのラジオテーマ曲「Pickin’ The Blues」収録。サザン・ロックのファンだけでなく、BRINSLEY SCHWALTZなど英パブ・ロック・ファンにもオススメできます。酔いどれ哀愁ロック!
74年にオールマンと同じカプリコーン・レーベルよりデビューしたサザン・ロック・グループ。80年作の4thアルバム。泥臭さやハードさはあまりなく、BRINSLEY SCHWALTZなど英パブ・ロックに通ずるような、軽快で人懐っこいメロディ&アンサンブルが印象的。酔いどれ哀愁ロック!
ALLMAN BROTHERS BANDのローディー達によって結成されたグループ、76年作3rd。当時、サザン・ロック・ファンの間で大きく話題になったというのも納得の、南部臭漂う濃密なサウンドが魅力の彼ら。ベース兼ヴォーカルのJon Dan Pettyの粘り強い歌声とファンキーなブギが炸裂するサザン・チューンの数々が今も多くのコアなファンから支持され続けています。時に軽快なツイン・ギターと新加入のハモンドの音色が、カントリーやケイジャンを取り入れたアップテンポな曲調に絶妙にマッチしています。
オールマン・ブラザーズでお馴染みのカプリコーン・レーベルより74年にリリースされたデビュー作。サザン・ロックの名作が多いカプリコーン・レーベルの中では珍しいスカっとヌケが良く、ブリティッシュ・ロック的な陰影もあるハード・ロック・サウンドが印象的。突き抜けるギター・リフで幕を開け、イェアッ!っというヴォーカルのシャウトを合図に、バンドが一丸となってスピーディーに疾走するオープニングのハード・ブギ・ナンバーからアクセル全開!スモーキーさもあるシャウト・ヴォーカルがブリティッシュ的でたまりません。ウィッシュボーン・アッシュか!という感じの哀愁のツイン・リードが聴けたり、これはカッコ良いです!ジャケットはヒプノシス!
米サザン・ロック・バンド。マッスル・ショールズ・スタジオで録音され80年にリリースされた唯一作。ザクザクと刻まれるリズム・ギター、ハイ・トーンのヌケの良いシャウトが魅力のヴォーカル、豊かなハーモニー、そして、キャッチーなメロディ。これぞ「サザン・ロック」と言えるノリが良くハード・エッジな佳曲がずらり。対照的に、しとやかにキーボードが奏でられるAOR的なバラードもまた魅力的です。さすがはマッスル・ショールズ産!
米オクラホマ州、タルサのサザン・ロック・バンド、80年唯一作。プライベートプレスでほんの少量リリースした作品とのこと。再生してみると、ファズのかかったギターが荒々しくリフを刻み、ノリの良いリズム・セクションは早足で駆け抜け、軽快なピアノがまぶされた哀愁あるメロディに載せて、どこかうらぶれた男の歌声が響く・・・夕日の落ちるアメリカの田舎をドライヴしているようです。LYNYRD SKYNYRDやMARSHALL TUCKER BANDのファンの方におすすめです。
米ウエスト・ヴァージニアのサザン・ロック・バンド、81年唯一作。スカッと分かりやすいリフを刻むギターにタイトなリズム隊、跳ね回るピアノ、飾らないボーカルのサウンドは、パブ・ロックにも通じる軽快さがあります。曲によってはキーボードのロージー嬢がスージー・クアトロばり(?)のボーカルを聴かせてくれて、楽しめますよ!
米ハード・ロック・グループ、75年の唯一作。疾走感いっぱいのアグレッシヴなリズム、バキバキとエッジの立ったスリリングなギター、太くエネルギッシュなシャウト・ヴォーカルによるソリッドなハード・ロック。ブルースがベースにありますが、スピード感重視のストレートなアンサンブルが持ち味。ツイン・ギターによるキメのハモリ・リードもグッときます。
ALLMAN BROTHERS BANDで有名なカプリコーン・レーベルから79年にリリースされた唯一作。タメの効いたグルーヴ、豪快に炸裂するツイン・ギター、男臭いヴォーカル、哀愁いっぱいのキーボード、スワンピーなホーン・セクション&女性コーラスが印象的なサザン・ロック。楽曲、演奏ともにエネルギッシュで力がみなぎった快作。
ご紹介したようなオールタイムのプログレや60s/70sロックのCDで聴かなくなったものはございませんか? 査定の正確さ・高額買取で評価いただいているカケレコの中古CD買取、是非一度お試しください!買取詳細&買取査定額の一例はコチラ↓
http://kakereco.com/about_assess.php
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!