2016年12月8日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
初期マイク・オールドフィールドへの憧憬を感じさせるプログレ・グループは世界に数多く存在しますが、その最高峰と言えるサウンドが日本で奏でられているということを、本作を聴くと誇りに思わずにはいられないのではないでしょうか。
コンポーザー/マルチプレイヤーの大山曜氏による多重録音ソロユニットとして88年に始動したASTURIAS。93年までに3枚のアルバムを発表し、以降はACOUSTIC ASTURIASとELECTRIC ASTURIASという音楽性の異なる2つのユニットで並行して活動を行ってきました。
そして08年に突如として多重録音ユニットのASTURIAS名義での活動を再開、08年作、15年作を経て、この度リリースされたのが16年作『極光 – AT THE EDGE OF THE WORLD』です。
それぞれ5つのパーツからなる2曲の組曲で構成されており、その作りからして初期マイク・オールドフィールドからの影響を感じさせます。
張り詰めた空気の中で鮮やかに響くピアノの反復フレーズ、どこまでも透明な音色を奏でるクラリネット、躍動感と気品に満ちたヴァイオリンなどが幻想的に紡ぐ、アコースティックな「静」のパート。変拍子の中をエッジの効いたキレのあるエレキギターとアグレッシヴにうねりを上げるシンセがテクニカルな応酬を繰り広げる、テンションみなぎる「動」のパート。両者が劇的に対比されながら描き出されるサウンドは、震えがくるほどの圧倒的なダイナミズムで迫ってきます。
アコースティック・ギターが主体となるトラッドな手触りのパートは、まさに初期マイク・オールドフィールドを思い出さずにはいられないサウンド。
選び抜いた音だけを緻密に重ね合わせて織り上げていくようなシンフォニック・サウンドは、職人的という表現がぴったり。これは初期のマイク・オールドフィールドが現代のプログレ・シーンに蘇って作品を作ったとしたら、という疑問に対する一つの答えと言ってもいいほどの驚くべき完成度と言えるのではないでしょうか。
とは言え再始動後にリリースされた08年作と15年作も、本作に負けず劣らずの傑作。16年作に震えが来るほど感動した!という方なら間違いなく同等の感動が押し寄せてくる作品であると断言!
まだASTURIASの音楽を体験していないという方は、これを機会にこの雄大にしてどこまでも緻密に編み上げられたサウンドにじっくりと浸ってみてはいかがでしょうか?
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