2016年12月8日 | カテゴリー:秀逸ジャケ調査委員会
はじめまして。最近、新しくカケレコに加わりましたユモトと申します。お世話になります。今後ほかのスタッフと同様、コラムやディスク・レヴューを書いていきますので、よろしくお願いいたします。
私が担当するこのコラムは、知られざる秀逸ジャケット、問題作ジャケット、興味深いジャケットをピックアップして解説していくものです。お客様のジャケ買いの一助にしていただければ幸いです。
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11月の季節外れの降雪には驚きましたが、12月になるとさすがに紛うことなき冬になりました。早いもので2016年も残りわずかです。
テレビでは今年を振り返るプログラムが目白押し。今年は本当にいろいろありました。
思い起こせば今年の1月にはあれとあれが……と振り返るのはとりあえず池上さんに任せるとして、私が個人的に振り返る「2016年」と言えばなんといっても「猫ブーム」です。
猫同居暦数十年の私としては「今更なんで猫ブーム?」と正直思うのですが、本屋に行けば猫写真集が平積みされ、テレビでは猫特集の番組ばかりで、猫ブーム来てるねを実感しています。猫カフェもそこかしこにできました。
猫支持者としては、猫の立場が高まり大切にされるのはうれしいのですが、何千年も昔から一緒に暮らしていた猫が、
なぜ今になって脚光を浴びているのか不思議でなりません。
主観的ではありますが、猫ファンは犬ファンよりけっこうこだわりが強いようで、猫ファンで且つ音楽ファンとなると、猫がジャケットに載っている所謂「猫ジャケ」を探したり、集めたりするものです。え?そんなことないですか?
猫ジャケは写真だろうがイラストだろうが、どれも皆かわいいのですが、音楽のジャンルとしてはジャズとポップス、そして歌謡曲に猫ジャケが多いようです。
へヴィ・メタルやハードコア・パンクのジャケに猫は皆無。まあ、猫には攻撃性のイメージがあまりないので、どうしてもゆるい音楽ジャンルのジャケに使われるようです。アイドルものとか。
では、カケレコが得意とする『プログレ』のジャンルではどうでしょうか?
だれもが思いつくような有名な猫ジャケはありましたっけ?
すぐに思いつくところでは、とりあえず2匹いました。奇しくも2枚ともジャーマン・プログレでした。
アモン・デュールⅡはアモン・デュールの分家でミュンヘン生まれ。1978年にこれを発表しました。
音はポップで且つ十分に抒情的。音もいいけど、なんといってもこのジャケ。思わずにやっとしてしまいます。
ノヴァリスは1971年にドイツのハンブルグで結成されたシンフォニック・ロックのグループ。
その最終作がこの「Augenblicke」です。ちなみにAugenblicke(オーゲンブリッケ)とは日本語で「瞬間」という意味です。う~ん、猫とは関係ない。
本作はアメリカのラップ・グループのサイプレス・ヒルにサンプリングされていたりします。
どちらの作品も秀作ですが、プログレ猫ジャケはたった2枚とは。
猫はさておき、プログレのジャケットに動物はそれなりにいます。
例えば鳥とか(ELP – ELP、 Camel – Snow Goose)
ご存じ牛とか(Pink Floyd – Atom Heart Mother)
へんな動物(Pete Shinfield – Still、ELP – Tarkus)とか。
でも少なくともメジャーな作品に猫は見つかりません。
そもそもプログレのサウンドやコンセプトに、猫はあまりマッチしないということでしょうか。
ほかに忘れているもっと秀逸な猫ジャケはないだろうか。もうちょっと最近のものとか。
あきらめずに、大して深くない知識と記憶をたどり、なんとか猫ジャケinプログレをもう1枚思い出しました。
それがこれ↓
元ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンの2003年発表のソロ・アルバムです。
ジャケットを見ると、例のポーズでフルートを吹くイアンのイラストがあって苦笑しますが、右側の黒猫ルピちゃん(メス)のキュートさには目を奪われます。作品名のとおり踊っています。懐古調のジャケット・デザインも秀逸です。
内容もまた良し。
もはやというか当然というか、2000年代のイアンが奏でる音楽はプログレのジャンルではくくれません。ブリティッシュ・フォーク、トラッドのジャンルの作品と言ったほうがぴったりです。
アルバムにはアコースティック・ギター中心の穏やかな佳曲が14曲収録されており、フルートもジェスロ・タルの頃より大胆に、そして優しく吹きまくっています。表題曲の「Rupi’s Dance」のほかに、7曲目に「Old Black Cat」という猫曲をもう1曲収録しています。イアンは間違いなく猫好きでしょう。
寒い冬に、暖かく暖房の効いた室内で、お茶でも飲みながら聞くにはうってつけのほっこりした(隠れた)名作です。
可能でしたら、聞くときには膝に猫を乗せてあげましょう。
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ANYONE’S DAUGHTERなどと並び、ジャーマンシンフォニックロックの頂点に位置するプログレバンドの代表作として名高い3rdアルバム。20分に及ぶ大作を含む3曲によって構成されており、どこを切っても霧に包まれたジャーマン・シンフォニックロックの深みと叙情が溢れ出る、ドイツロマン派を代表する傑作。硬質なリズムセクションと対比するように柔らかに空間を彩るストリングス・シンセサイザーとメランコリックなフレーズを放つギターが特に印象的であり、ボーカル、コーラスのジェントリーで儚げな雰囲気も非常に魅力的な1枚です。
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THE NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成されたスーパー・グループであり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックのトップに位置するバンドのひとつ。ロックではハンディキャップとなるキーボード・トリオ(ギターレス)編成ながら、強烈に歪ませたハモンド・オルガンをドライブさせ、ギター・ロックに匹敵するダイナミックなサウンドを生み出しました。また、クラシック音楽のロック・アレンジや、モーグ・シンセサイザーを導入した先駆的なスタイルが特徴であり、「電気と才能の無駄遣い」という批判をもろともせず世界的な成功を収めました。1971年にリリースされたセカンド・アルバム『タルカス』は、個性的なアートワークが示すとおり、アルマジロと戦車が合体した架空の生物「タルカス」をテーマにした20分の組曲が収められた名盤。特に組曲冒頭の「噴火」セクションはあまりにも有名で、キーボード・プログレッシヴ・ロックの代表的な楽曲となっています。また、日本ではオーケストラ・バージョンに編曲されたものが大河ドラマのサウンドトラックとして使われたこともありました。火山の中から現れた「タルカス」は地上を破壊、そこにコウモリ(羽)とサソリ(尾)とライオン(体)が合体した「マンティコア」という生物が現れ、「マンティコア」に敗れた「タルカス」は海へと帰っていくというストーリーであり、ジャケット内にはそれぞれのシーンのイラストも描かれています。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ビニールに情報シール付き仕様、定価2100+税
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯有
軽微なカビあり、若干黄ばみあり、情報記載シールなし
Andrew Latimerを中心にファンタジックなアプローチでプログレッシブ・ロックの重要バンドに位置づけられるイギリスのバンドの75年3rd。オーケストラ・セクションを迎え、ポール・ギャリコの小説「白雁」をコンセプトに掲げたアルバムであり、全編インストルメンタルによる彼らの代表作の1つです。特にAndrew Latimerによるフルートの優しげな調べが印象的な「ラヤダー」は、澄んだシンフォニック・ロックのお手本として有名であり、同じくフルートを扱いながらもアプローチの全く違うJethro Tullとの比較で論じられています。決して派手さはないものの優しさとロマンに溢れており、肌触りの良いギターやPeter Bardensによるキーボードの音色、リズムセクションの軽快さ、そしてインストルメンタルのハンディを感じさせないメロディーとアレンジの上手さで御伽噺の世界をマイルドに表現しきった名盤です。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1970年に発表された4thアルバム『原子心母』は、ヒプノシスによる牛のカバー・アート、英単語の直訳をそのまま並べた個性的な邦題、そして、日本盤帯に書かれた「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」というキャッチ・コピーが広く知られた名盤です。やはり一番の聴きどころは、スコットランド出身の前衛作曲家Ron Geesinをオーケストラ・アレンジャーに迎えた23分のタイトル曲「Atom Heart Mother」でしょう。ブラス・セクションや混声合唱を贅沢に配置したサウンドが、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを宣言するかのように堂々と響きます。一方、Roger Waters作曲の「もしも」、Rick Wright作曲の「サマー’68」、Dave Gilmour作曲の「デブでよろよろの太陽」は、共通して美しいメロディーが印象的な小品。そして、アルバムの最後にはミュージック・コンクレートの手法を用いた「アランのサイケデリック・ブレックファスト」が控えます。なおグループは、本作で初めて全英初登場1位を獲得しました。
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