2016年12月6日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
チューダー・ロッジ、メロウ・キャンドル、スパイロジャイラのいわゆる英フォーク三種の神器。この3グループのサウンドの素晴らしさは言わずもがなですが、ヨーロッパを見渡すと、彼らにも決して引けを取らないフィメール・ヴォーカル・フォークの名作が数多く存在するんですよね。三種の神器を愛する方ならきっと心の琴線に響くであろう欧州フィメール・ヴォーカル・フォークをご紹介してまいりましょう!
スコティッシュ・フォークを代表する歌姫と言えるメイ・マッケンナのこの透明感と凛とした歌いっぷり。録音時10代だったというのがちょっと信じられません。力強いリズム、青空へと駆け抜けていくようなエレクトリック・ギターとフィドル。フェアポートにも負けない力強くもしなやかなエレクトリック・トラッドを聴かせます。
おそらく英国フォーク+インド音楽の最良の形と言えるのがこの作品。美しいフィメール・ヴォーカルをフィーチャーした格調高いブリティッシュ・フォークに、インド人メンバーが担当するタブラやシタールによるインド音楽のエッセンスが絡むのですが、特筆なのはこのインドエッセンスの絶妙すぎる配分。英フォーク元来の瑞々しさを全く損なうことなくエキゾチックな空気を醸し出しているのがとにかく素晴らしい。いわゆるラーガ・ロックとは一味違うセンス溢れる隠れフォーク名盤です。
スペイン・バスク州の名グループによる、ヨーロピアン・プログレッシヴ・フォークの最高峰と言える一枚。幽玄なフルートやチェロ、虚ろな女性ヴォーカル、エキゾチックなパーカッション。でも、混沌とすることはなくて、もうそれはそれは美しいんですよね。14分に及ぶ仄暗い抒情を湛えた大曲も見事です。
こ、これは、まるでバグパイプ、マンドリン、ハーディ・ガーディ、ブズーキなど古楽器をふんだんに取り入れたメロウ・キャンドル!?このドイツ語の硬質な響きと古楽器との意外な相性の良さには驚かされますよね。ゲルマンの霧がかった森の奥深くから響いてくるようなミスティックな名品。
フランス出身の女性ケルト・フォーク・シンガー、74年以降の音楽活動の場となったイタリアのみでリリースされた82年作3rd。フランスとイタリアの伝承歌を歌った作品で、ペンタングルやヴァシュティ・バニヤンあたりのファンはたまらないであろう逸品となっています。イタリアの現地ミュージシャンが参加したヴァイオリンやブズーキやバンジョーやタブラが彩る地中海トラッド的な楽曲もとても魅力的です。
旧ユーゴのプログレッシヴ・フォーク・バンドによる80年作1st。幻想的に鳴り響くアコーディオンをバックに、しっとりと流麗に鳴るフルートやリコーダー、そして東欧らしいひなびた哀愁を放つ爪弾きのアコースティックギター。凛とした透明感ある歌声が魅力的な女性ヴォーカルと素朴な男性ヴォーカルという組み合わせからはスパイロジャイラが想起されますが、実際はメロウ・キャンドをよりフォーク寄りにしたという印象のサウンド。スロベニア語と思われる母国語ながら英国フォークと変わりのない耳馴染みの良さを持つ、スッと聴き手の心に染み入るような清楚な美しさを湛えた作品です。
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