こんにちは、カケレコ・スタッフの佐藤です。
10月28日に六本木のビルボードライブ東京で行われたヤン・アッカーマンの来日公演に行ってまいりました!
ヤン・アッカーマンと言えば、ご存知オランダの誇る名プログレ・バンドFOCUSで活躍した技巧派ギタリスト。
FOCUSとして人気絶頂にあった73年には、英メロディーメイカー誌のギタリスト投票で10年間トップを守っていたクラプトンを抜いて1位に輝いたほどの正真正銘のスーパーギタリストです。
76年にFOCUSを脱退して以降は、ソロでの活動を中心にコンスタントにアルバムをリリース、ライヴ演奏も活発に行っています。
ステージに登場したアッカーマンは、ジーンズ姿にトレードマークと言える黒のキャップと白いストールを巻いた洒落た出で立ち。バンドはキーボード、ベース、ドラムの4人編成です。
演奏が開始されると、一音一音にチョーキングで微妙なニュアンスを付け表情を生み出す表現力の豊かさに早くも耳を奪われます。
テクニカルな速弾きが注目されがちですが、フォーカス時代から披露されてきた叙情的な演奏でのこの深みのある表現力も名ギタリストたる所以であることを、生で聴いていて実感します。
一方、要所で炸裂する速弾きはやはり圧巻の一言!超絶プレイを涼しげな表情で繰り出すその姿からは、御年すでに70歳であることをまったく感じさせません。とにかく半端じゃない現役感。
速弾きを得意とするギタリストは衰えが見え始めると結構ショックなものですが、彼に関してはその技巧に一切の曇りなし。
いまだにスーパーギタリストであることを証明するようなプレイに、今あのヤン・アッカーマンを観ている!という感覚が突如湧いてきて、一気に感動がこみ上げてきました。
40年も前のフォーカス時代と同じ手癖フレーズもところどころで聴けたりして、思わずニヤっとしてしまいました。
またいくつものエフェクターを使い分けながら演奏していて、ギター1本での演奏とは思えない多彩なサウンドを曲に合わせて使いこなしていたのがとても印象的でした。
ワウをかけた超絶速弾きはかなりかっこよかった~!
個人的には、彼のソロでも特に好きな一曲「Angel Watch」が聴けたのが嬉しかったですね~。
フォーカス時代の叙情ナンバーを思わせる泣きのフレーズを紡ぐ冒頭から、ファンキーに跳ねるリズムに乗ってキーボードとのパッションみなぎるソロ合戦に突入していく聴きどころ満載のナンバーで、抜けるような打音が心地よいパワフルなドラム、独特の粘りのあるうねるベース、フュージョン・タッチのクールなプレイで決めるキーボードと、ここではバンドメンバーの好演も光っていました!
そして後半は、満を持してのフォーカス・ナンバーによる畳みかけが始まります!!
まずは、『FOCUS III』収録の「Answers? Questions! Questions? Answers!」から。先ほどまでとは明らかに違う火を噴くようにワイルドなハードロック寄りの速弾きは、まさに「フォーカスのヤン・アッカーマン」が顔を見せた感じ!オリジナル・バージョンと比べても遜色のないプレイでこれは相当ヤバかったです!やっぱりフォーカス・ナンバーを目の前で演奏されると興奮するなというのが無理ですね。気が付いたら身を大きく乗り出して聴いていました。
続いては2nd『MOVING WAVES』からの叙情的な名品「Focus II」。ヴォリューム奏法を駆使したあまりに繊細なオープニングからオリジナルそのまま。甘いトーンで終始デリケートに紡がれる珠玉のギタープレイに会場全体が酔いしれます。これは始まった途端泣くな~と思いましたが、やはり泣けました。むかし一生懸命練習した曲だったこともあり、この曲を本人が生で演奏してくれているという目の前の光景に感動もひとしおでしたね~。
さらには再び『III』より「Anonymous II」がスタート!ギターソロのパートを中心にしたショートバージョンでしたが、ここでも圧倒的なテクニックで押しまくるスーパープレイに興奮を抑えられません!途中なぜか「アルプス一万尺」が挿入されたり茶目っ気のある演奏に、会場も大いに沸いていました。
そして最後の最後で、悪魔の呪文こと「Hocus Pocus」も登場しましたよ!!こちらもショートバージョンでしたが、なんだかんだ言ってやっぱり一番盛り上がるのはこの曲。これを最後で披露するとは何とも憎い締めくくりです。会場中が大盛り上がりの中でステージを後にする4人でした。
80分弱ほどのステージでしたが、ソロ曲からフォーカスの曲までプレイしてくれてかなり濃密なステージでした。
何より「フォーカスのヤン・アッカーマン」が今なお彼の中に存在しているということを演奏を通じて実感できたのが、フォーカス・ファンとしてはとても嬉しかったですね。
最高の一夜をありがとう、ヤン!またの来日を楽しみにしています!
all photos by Yuma Totsuka
オランダを代表するプログレッシヴ・ロック・グループ、フォーカスでの活動最盛期に発表された、ソロ3作目にして最高傑作の称にふさわしいインストゥルメンタル集。ギターと古楽器であるリュートを自在に持ち替えてプレイヤーとしての真価を遺憾なく発揮し、ルネッサンス〜バロック音楽とプログレッシヴ・ロックを融合。繊細なアプローチと大胆なアイデアとの競合により、中世の美学を20世紀に転生させた渾身の1枚である。ヴァニラ・ファッジ〜ベック、ボガート&アピスのティム・ボガート(ベース)、カーマイン・アピス(ドラムス)が参加。
70年発表の記念すべきデビュー作!FOCUSは68年にキーボード&フルートのタイス・ヴァン・リアが結成。70年に元Brainbox(これも名バンド!)のギタリストであったJan Akkermanが加入して本作をレコーディングしました。内容的には全体的にまだ地味であり、一番最後に聞くべきアルバムかもしれません。全8曲のうち3曲がインスト、5曲がボーカル入りです。インストの3曲、Anonymus、House of The King、Focus の3曲は、ベスト盤にも収録されている文句なしの名曲、デビュー作ですでにベテランの風格さえ感じさせてくれます。Jan Akkermanのギターがジャズ、ブルース、クラシックのテイストを取り混ぜながら、強烈な存在感でせまってきます。 一方、なかなかに面白いのがボーカル曲の数々。おそらく、Jan Akkermanは、出来に相当不満は感じていたのでしょうが、これがなかなかの名曲揃いだと思います。サウンドは、60年代後半の英国ビートポップに近いとは思いますが、メロディーが実に美しい。FOCUSが世界的な人気を得たのは、テクニックだけではなく、後のJanisやSylvia などの珠玉のメロディーがあればこそだったわけで、この曲想は本作でもその片鱗が見えています。 確かに、ヴォーカルそのものには、やや弱い面があるとは言え、ギターソロ等では、しっかりFOCUSの音が出来上がっていますし、重厚なキーボード・ワークもビートポップバンドの比ではありません。 彼らとしては、異色な作品ですが、叙情派プログレの傑作として、MOODY BLUES、CARAVAN、CAMEL等が好きな私には、たまらない作品と言えるでしょう!
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2190+税
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯有
小さいカビあり、紙ジャケ側面部に色褪せあり、帯に軽微な折れあり
オランダのプログレッシヴ・ロックバンドFocusの2作目です。キーボーディスト兼ヴォーカリストのThijs Van LeerとギタリストのJan Akkermanがバンドの顔なわけですが、ヨーデルを取り込んだ一種形容できないLeerのスタイルと、カミソリの様に硬質でありながら最高にキャッチーなAkkermanのギタープレイが絡み合って不思議な高揚感が独自のハード・ジャズ・ロックでありながらそれ一辺倒にはならずに、優雅でメロウな曲も創作でき る何とも稀有な存在!一度嵌ったら、抜け出せない魔的な魅力を放った作品です。1曲目の「Hocus Pocus」は、ハードでキャッチーなギターリフと変てこなヨーデル風スキャットが炸裂しています。2曲目以降は打って変わって叙情的な作品が続きます。ヨーロッパの香り漂う佳品ぞろいです。 そして最後に23分の組曲「Eruption」で締めくくりとなりますが、これはもう鳥肌ものの名曲。まだフュージョンというジャンルが世に出る前からロック、ジャズ、クラシックを融合したクロスオーヴァー・サウンドを作り出していたのは特筆に価します。
オランダのみならずユーロを代表するプログレ・バンド、72年作3rd。変拍子を織り交ぜた切れ味鋭いリズムを土台に、フルートが躍動感いっぱいにエネルギッシュに吹き飛ばし、ハモンド・オルガンとギターが怒涛のソロを繰り広げる奔放なパートの次の瞬間、宮廷音楽のように気品いっぱいでロマンティク溢れるメロディが鳴り響く。彼らを世界的なバンドへと押し上げた「テクニカルさと親しみやすさとの巧みなバランス」が1曲目から光り輝いています。演奏面で特筆なのは、世界的な名手と言えるヤン・アッカーマンのギター。ジャジーな速弾きからコロコロと転がるような親しみやすくメロディアスなフレーズ、静謐でロマンティックなフレーズまで表現力たくみなソロはもちろん、エッジが立ったグルーヴ感いっぱいでいながら歌心にも溢れたリズム・ギターも魅力的です。イエスやジェントル・ジャイアントにも負けないテクニカルさ、キャメルにも匹敵する叙情美、そして、ジャズ、クラシック、ラテン音楽などのエッセンスを巧みに組み合わせるアレンジ・センス。とてつもなく愛らしい名曲「Sylvia」と怒涛の即興ソロで畳み掛ける「Anonymous Two」の両方を奏でられるバンドは、プログレ・シーンにおいても稀有でしょう。オランダが世界に誇る、まさに「プログレッシヴ」な大傑作です。
ロンドンのレインボー・シアターにおける伝説のライヴを収録したフォーカス唯一のライヴ・アルバム。73年作。
オランダが生んだ世界的グループ、フォーカスによる74年作4th。アルバムのハイライトは20分に及ぶタイトル曲の「ハンバーガー・コンチェルト」。華やかなブラームスの主題でクラシカルに幕を開けつつ、中間部ではジリジリと温度が上がっていくような重厚なテンポの中、躍動感のあるフルートや、鋭い切れ味と繊細なジャズ・タッチを巧みに使い分けるギターの息を呑むソロ・パートで緊張感を高めます。突如賛美歌のような荘厳なコーラスが現れたかと思えば、彼らの名曲「シルヴィア」を思わせるような輝かしいギターのフレーズによって迎える雄大なフィナーレは、イエスの『危機』にも劣らぬドラマチックさ。アルバムを通して穏やかなミドルテンポの曲調が多く、過去作のような荒々しさは少なくなったものの、教会音楽のようにおごそかな「ストラスブルグの聖堂」に象徴されるクラシカル/バロック調や、流麗なフルートと伸び伸びとしたギターが鮮やかなソロを繰り広げる「バース」など、おおらかさと優雅な気品を併せ持ったアンサンブルに磨きがかかり、よりサウンドのスケール感を増しています。おなじみの奇天烈ヨーデルなどの独特なユーモアも程よいバランスでサウンドに染み込み、非常に円熟した魅力を放つ、彼らの集大成的作品です。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!