2016年10月14日 | カテゴリー:そしてロックで泣け! 舩曳将仁,ライターコラム
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結婚してから一度も合コンなるものに参加していない。そう、一度も。と、そこは諸事情により強調しておくが、合コンとかで盛り上がる話題のひとつに、SかMかというのがあるじゃないですか? もう10年以上合コンに行ってないので、今はわからないけど。そう、10年以上、一度も行ってない。
今さら説明するまでもないけど、Sというのはサディズム、Mというのはマゾヒズムで、最近ではTV番組でも多用されるようになって、「君はSなの?」とか、「僕Mなんで」とか、普通に使われるようになっている。気の強さと弱さ、そこに性的な嗜好も匂わせて、なおかつ「イヤラシさ」をオブラートに包んで伝える言葉として、なかなか便利ではある。まあ僕が合コンで使う機会は、もうないけどね。そう、もう二度とない。
僕自身がSかMかはおいといて、人の好みでいえば、気の強い人は苦手だ。最近の人は肉食系と言うんでしょうか? 相手が男でも女でも、あんまりグイグイこられると、「ウッ」となってしまう。だから美容室も苦手。美容師さんてグイグイ来るでしょ?「お仕事は何されてるんですか~?」「えー、ウッソー、私もネコ好きなんですよー!」「今度の連休、どこか遊びに行かれますぅ~」とか、疲れちゃう。
そんな日は、繊細なブリティッシュ・フォークの女性シンガーものを聴きたくなる。でも、ジャケットに写る彼女たちの姿を見て、よくよく考えると、ブリティッシュ・フォークの女性アーティストって、みんな気が強そうに見えません?
当連載でもとりあげたマディ・プライアをはじめ、思いつくままに挙げていくけど、ジューン・テイバー、クレア・ハミル、ブリジット・セント・ジョン、シャーリー・コリンズ、スプリガンズのマンディ・モートン、トレイダー・ホーンのジュディ・ダイブル、アイルランドでもクラナドのモイア・ブレナンにエンヤ、ゲイ・ウッズ……ああ、みんな気が強そう、って思うの僕だけかな?
でも、そんな彼女たち、女性フォーク・アーティストが歌う人生や恋に関する歌が、心の琴線に触れまくるのです。これってツンデレってやつでしょうか? うーん、僕ってSなのか?Mなのか?
さて、今回紹介したいのはサンディ・デニー。うん、彼女も気が強そう。というか芯が強そうだ。そりゃあフェアポート・コンヴェンションみたいに強烈なアイデンティティ集団の中で凛としてフロントを務めるんだから、気が強くなかったらやってられないかも。
簡単にサンディ・デニーの経歴を記しておこう。1947年1月6日生まれの彼女は、18歳の頃からフォーククラブなどで歌い始め、すぐに注目を集める。1967年にストロウブスにスカウトされ、アルバム1枚分を録音するが脱退。1968年にフェアポート・コンヴェンションに加入。サンディを加えた彼らは、1969年に『ホワット・ウィ・ディド・オン・アワ・ホリデイズ(WHAT WE DID ON OUR HOLIDAYS)』、『アンハーフブリッキング(UNHALFBRICKING)』、『リージ・アンド・リーフ(LIEGE & LIEF)』というフォーク・ロックの金字塔的作品を連発するが、もろもろあってサンディ・デニーは脱退。恋人のトレヴァー・ルーカスらとフォザリンゲイを結成するが、こちらは経済的に行き詰まり、アルバム1枚で解散する。
1971年にソロ名義で『海と私のねじれたキャンドル(THE NORTH STAR GRASSMAN AND THE RAVENS)』を発表すると英31位を記録。1972年『サンディ(SANDY)』、1973年『オールド・ファッションド・ワルツ(LIKE AN OLD FASHIONED WALTZ)』と順調にソロ・アルバムを発表。トレヴァー・ルーカスと結婚し、彼が在籍していたフェアポート・コンヴェンションに復活。だがアルバム1枚で脱退する。1977年にソロ作『ランデブー(RENDEZVOUS)』を発表。娘を出産し、さあライヴにも復帰してこれから……という時に階段を踏み外して落下。頭を打ったことが原因で1978年4月21日に他界してしまう。享年31歳。あまりにも若い死だった。
ブリティッシュ・フォーク・ファンには初期ソロ2作の人気が高いと思うが、今回は3作目『オールド・ファッションド・ワルツ』に収録された「ソロ(Solo)」を紹介したい。
「ソロ」で歌われるテーマは男女の別離。ただし別離を悲しんでいるのではない。決然として別れを告げる女性の立場で歌われている。「話し合うことが必要な時もあるけど、それがいらない時もあるのよ。今はそう、あなたが言うことで私は混乱するだけだと思うわ」などと言い放ち、「私はソロになるのよ。あなたもソロでやってみれば?人生そのものがソロみたいなもんでしょ?」と、スパッと突き放している。
当時のサンディはというと、恋人のトレヴァー・ルーカスと結婚し、私生活ではハッピーそのもの。一人で生きていくという決意とは正反対の状況にあった。だから当時の彼女の心情ではなかったと思うけど、これまでの波乱万丈の音楽活動を思うと、そういう気持ちを抱いた時が少なからずあったのかも。「いいわ、一人で生きてやる!」という強がった気持ち。精いっぱいの強がり。そう思うと、「人生そのものが、ソロみたいなもんじゃないかしら?」というフレーズでのサンディの歌唱に、ズンと人生の深みと重みが感じられる。
曲のラストのサビでは「私たちはみんなソロなのよ!みんなソロでやるのよ、だって人生そのものがソロみたいなもんでしょ」と歌う。曲はストリングスを伴ってワッと盛り上がるように思えるところで、スーッと消え入るようにエンディングを迎える。決然と別れを告げる女性の歌だと思っていたのが、曲を聴き終える時には、一人で生きていくことへの寂しさや哀しみの方が強く感じられる。少なくとも、「恋人と別れて、一人でやっていけるから幸せだ~」という風には聞こえないところが、「ソロ」の奥深さなんじゃないかなと思う。
英プログレ・バンド、マリリオンを脱退したシンガーのフィッシュが、93年に発表したカヴァー・アルバム『ソングス・フロム・ザ・ミラー(SONGS FROM THE MIRROR)』のなかで「ソロ」をとりあげている。
フィッシュはマリリオンと決別し、ソロで2枚のアルバムを発表。3作目となる『ソングス・フロム・ザ・ミラー』発表後は、自主レーベルを立ち上げて活動を続けていく。その時期に「ソロ」をとり上げたというところに、なかなか意味深なものを感じさせる。
失恋の時に限らず、一人で頑張らなきゃいけないような時に、サンディ・デニーの「ソロ」を聴くと胸に響く。フィッシュもサンディ・デニーの「ソロ」にグッときたに違いない。ちなみに2015年のクロップレディ・フェスティバルでは、フィッシュがフェアポート・コンヴェンションのステージにゲスト参加して「ソロ」を歌っている。
それでは、来月もロックで泣け!
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世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。
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フェアポートを抜けたサンディー・デニーが71年に発表したファースト・ソロ。フェアポートと比べてトラッド色が薄まった分くっきりと浮かび上がる彼女の繊細な歌声が絶品。いかにも英国フォーク的な荘厳なメロディーがまた素晴らしく、盟友リチャード・トンプソンのつぼを押さえたギターも曲を一層引き立てています。
スリップケース付き仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
スレあり、スリップケース無し
72年の2ndソロ。フェアポート直系の緊張感溢れる英トラッド・フォークだった1stソロに比べ、リラックスした伸びやかな歌声とオーケストラも取り入れた開放感あるアンサンブルが印象的。ソングライターとしても自信が漲っており、「Listen Listen」「The Music Weaver」など、オリジナル曲の完成度は本作がベストだと思います。ヴォーカリスト、ソングライターとして脂がのりきった傑作。
紙ジャケット仕様、05年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック5曲、英国新編集12Pブックレット付き仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
77年作。残念ながら遺作となってしまった4thソロ。美しく力強いメロディー、ピアノとオーケストラによる壮大なアンサンブルがドラマティックな名曲「I’m A Dreamer」をはじめ、どの曲もメロディーが絶品な佳曲揃い。ロック色を増した起伏に富んだアンサンブルもメロディーを感動的に響かせています。これがラストとはあまりにも悲しすぎる名作です。
紙ジャケット仕様、05年リマスター、ボーナストラック5曲、英国新編集12Pブックレット/内袋付き仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
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