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スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。 – 第十四回 キャメル『ハーバー・オブ・ティアーズ』

こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。

今回取り上げるのは、キャメルの96年作『ハーバー・オブ・ティアーズ』です。

来たる5月、16年ぶりにキャメルが来日公演を行います。しかも、単独公演に加え、「ROGRESSIVE ROCK FES 2016」のステージではスティーヴ・ハケットとともに出演。プログレッシヴ・ロックを代表する大物2組のライヴを一度に楽しめるなんて、プログレファンにとっては至上の喜びですよね!スタッフ佐藤も今から心待ちにしています。

73年というプログレッシヴ・ロック人気がピークを迎えた時期にデビュー、英国然としたセンチメンタルで叙情的なシンフォニック・ロック・スタイルを築き上げ、英国プログレの代表的グループの一つとなったキャメル。

後進バンドに与えた影響の大きさは5大バンドをも凌ぐほどで、現在も世界各国から彼らのサウンドを手本にしたバンドが絶えることなく登場しています。

さて、そんなキャメル、最高傑作を挙げるとするなら、やはりポール・ギャリコの小説を音像化した75年作『スノー・グース』ということになるでしょうか。13年には素晴らしいリメイク・アルバムが発表されたことも記憶に新しいですよね。バンド自身にとっても特別な作品であることがうかがえます。

ただスタッフ佐藤、この『スノー・グース』によって初めてキャメルに触れた時、どうにもその良さがわからず、不遜にも「あ、キャメルはダメかもな」と思ってしまったのです。ちょうど5大バンドの次のステップとして、GGやVDGGと同時期に聴いたキャメルだったため、どこかパンチの足りない音楽だと結論付けてしまったように思います。今でこそ『スノー・グース』『ムーンマッドネス』などは愛聴盤となっていますが、初期キャメルの良さがわかるまでには実際のところ数年の時間を要しました。

70年代の作品よりも先にキャメルの素晴らしさを実感できたのが、実は90年代の作品によってでした。そのきっかけとなったのが近所の中古CD店で何気なく手にとった96年作『ハーバー・オブ・ティアーズ』です。

ギタリストのアンディ・ラティマー主導のもと活動していた80年代-90年代のキャメルは、活動休止期間を挟みながらも、東西分割時代のベルリンやスタインベック『怒りの葡萄』など歴史的・社会的なテーマを取り上げたコンセプト・アルバムをリリース。この『ハーバー・オブ・ティアーズ』も、アイルランドを征服したイギリスの植民地政策によって多くのアイルランド人がアメリカへの移住を強いられた「アイルランドの悲劇」を題材にしたコンセプト作品となっています。

随所にアイルランド民謡やケルト音楽を想わせる美しくも物悲しい旋律を織り交ぜシリアス且つ重厚に展開していく本作、一本の映画にも匹敵する濃密なドラマが繰り広げられています。親兄弟と引き裂かれたアイルランド人たちの嘆きを表現するように悲哀を帯びたラティマーのギターがむせび泣きます。

最大の聴き所は、代表曲と言える「COMING OF THE AGE」から23分に及ぶ「THE HOUR CANDLE」へのラスト2曲の流れでしょう。緊張感みなぎる展開の中でも終始メロディアスに紡がれるギタープレイがただただ圧巻な「COMING OF THE AGE」、天を駆けるようなスケールで叙情美を描くギターに思わず目頭が熱くなる「THE HOUR CANDLE」。アンディ・ラティマーのギタリストとしての比類なき表現力が凝縮された2曲だと思います。さらにこの最終曲、23分は23分なのですが、演奏は最初の8分だけで、あとの15分はただ遠くに潮騒が聞こえるのみ。これがまた素晴らしい演出になっていて、この重厚なドラマの幕を閉じるのにいい余韻になっているんですよね。泣かせます。

COMING OF THE AGE

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THE HOUR CANDLE

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  • CAMEL / SNOW GOOSE(2013)

    英プログレ史に輝く名作『SNOW GOOSE』を13年リメイク、原曲に忠実ながらアンディ・ラティマーが新たなイマジネーションを添えた傑作リメイク盤!

    イギリスを代表するプログレ・グループ、英プログレ史に輝く名作『SNOW GOOSE』の13年再録作。メンバーは、オリジナル・メンバーのANDY LATIMERを中心に、00年代の作品やライヴでも組んだGUY LEBLANC (オルガン)、COLIN BASS (ベース)、DENIS CLEMENT(ドラム/パーカッション)による鉄壁の4人。ラティマー以外のパートは、オリジナルのメンバーに敬意を払い、基本的に原曲を忠実に再現している印象。ドラム、ベース、オルガンともに、変わらぬヴィンテージな音色の中に、現代の録音ならではの音の緻密さがあり、まるでスタジオに紛れ込んだような生々しさに興奮します。そして、そこにギター、フルート、キーボードを操り、新たなイマジネーションを加えるラティマー。優雅な艶やかさとともに幻想的で柔らかなキーボード・オーケストレーションが原曲以上の映像喚起力でたなびくなか、フルート、ギターが躍動しています。「Snow Goose」でのギターなど、フレーズや音色は基本的に同じながら、やはり現代のレコーディングシステムによってタッチの繊細さが際立ち、エモーションがこれでもかと溢れているのが特筆。「Sanctuary」「Migration」「Rhayader Alone」「Epitaph」の4曲はRevised Editionとして新たな解釈が加えられているのも聴き所で、アコースティック・ギター中心だった「Sanctuary」は、夢想的にたなびくキーボードを背景にエレキが繊細なタッチで叙情を紡ぎ、ラティマーのまるで劣らぬアーティスティックな感性に感動します。単なる再レコーディングではなく、ラティマーだからこそ成しえた2013年リメイク。原曲の魅力はそのままに、すぐそこで演奏しているかのように躍動感いっぱいのアンサンブルが一際スケールを増してイマジネーションを紡ぐ傑作です。

  • CAMEL / LIVE IN CONCERT LONDON 77

    1977年10月1日ロンドンでの公演を収録、11曲入り

  • CAMEL / LIVE IN LONDON ’74

    『MIRAGE』リリース後のツアーより、74年6月ロンドン公演&11月NY公演を収録

  • CAMEL / CAMEL

    73年リリースの記念すべき1stアルバム、代表曲「Never Let Go」収録

    ファンタジックなサウンドで独自の道を切り開いたキャメルのデビュー作。73年作。初期の代表作として知られる「ネヴァー・レット・ゴー」「秘密の女王」を収録。

  • CAMEL / MIRAGE

    74年リリース、初期の代表曲「LADY FANTASY」収録の2nd!

    Andrew Latimerを中心にファンタジックなアプローチでプログレッシブ・ロックの重要バンドに位置づけられるイギリスのバンドの74年2nd。名盤となる次作「The Snow Goose」に見られるファンタジックさと気品に比べるとPeter Bardensのキーボードが若干おとなしく、その代わりAndrew Latimerのギターが前に出て渋く泣いているようなイメージであり、全体的にややハードな雰囲気が漂っているものの、その音像は単純なハード・ロックとは全く違う甘みを感じるものであり、フルートの効果的な使用も相まって、マイルドな質感を醸し出しています。自作につながるようなファンタジックさの片鱗も見え隠れする素晴らしい作品です。

  • CAMEL / SNOW GOOSE

    ポール・ギャリコ「白雁」をモチーフにリリカルかつイマジネーション豊かに綴られる、一大コンセプト・アルバム傑作、75年発表

    Andrew Latimerを中心にファンタジックなアプローチでプログレッシブ・ロックの重要バンドに位置づけられるイギリスのバンドの75年3rd。オーケストラ・セクションを迎え、ポール・ギャリコの小説「白雁」をコンセプトに掲げたアルバムであり、全編インストルメンタルによる彼らの代表作の1つです。特にAndrew Latimerによるフルートの優しげな調べが印象的な「ラヤダー」は、澄んだシンフォニック・ロックのお手本として有名であり、同じくフルートを扱いながらもアプローチの全く違うJethro Tullとの比較で論じられています。決して派手さはないものの優しさとロマンに溢れており、肌触りの良いギターやPeter Bardensによるキーボードの音色、リズムセクションの軽快さ、そしてインストルメンタルのハンディを感じさせないメロディーとアレンジの上手さで御伽噺の世界をマイルドに表現しきった名盤です。

  • CAMEL / MOONMADNESS

    前作『スノーグース』と並び初期キャメルの持ち味が最大限に発揮されたファンタジックな大名作、76年作

    Andrew Latimerを中心にファンタジックなアプローチでプログレッシブ・ロックの重要バンドに位置づけられるイギリスのバンドの76年4th。前作「スノー・グース」と並んでファンタジックなCAMELの音楽性をダイレクトに伝える作品であり、Andrew Latimerの消え入るような儚げなフルート、Peter Bardensの堅実かつ時に奔放なキーボードの妙技、そして軽やかに変拍子を紡ぐリズムセクションのトータル感で聞かせます。シンフォニックに、そしてジャジーに、肌触りの良いマイルドさを持った傑作であり、ゆったりと身を任せられるような自然なサウンドが一貫して個性的な1枚です。

  • CAMEL / RAIN DANCES

    リチャード・シンクレア、メル・コリンズが参加した77年リリース5th

    英国出身、Peter bardens、Andy Latimerを擁するファンタジックなプログレッシヴ・ロック・グループによる77年作5th。本作よりベーシストRichard Sinclair、サックス奏者Mel Collinsの二人が参加しています。特にRichard Sinclairはヴォーカリストとしても貢献していて、その甘く繊細な歌声はCAMELの世界観と見事にマッチ。親しみやすいメロディが際立つ一方、インスト面ではよりジャジーな方向へと音楽性をシフトしています。表情豊かで柔らかな音色を奏でるサックス、変幻自在に躍動するベース・ラインが、透明感溢れるキーボード・サウンドに溶け込んだジャジーなアンサンブルを奏でており、甘いヴォーカルと伸びやかなギターは叙情的なメロディを謳い上げます。「Elke」ではBrian Enoがムーグ・シンセで参加、アンビエント要素を加えてより神秘的なCAMELを聴くことが出来るなど、聴き所は多数。次作『BREATHLESS』と本作でしか聴けない貴重な6人編成、『SNOW GOOSE』など代表作を聴いた方におすすめしたい一枚です。

  • CAMEL / I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE

    敏腕ルパート・ハインがプロデュースを手掛けた79年作、新加入した元HAPPY THE MANのKit Watkinsによるスペイシーなシンセワークが冴える傑作!

    キーボードにキット・ワトキンス(元ハッピー・ザ・マン)を加え、更にサウンドの幅を広げた第三期キャメルの傑作アルバム。79年作品。

  • CAMEL / NUDE

    81年リリース、小野田少尉の実話を基にしたコンセプト・アルバム

    第二次世界大戦後、南方の島に取り残された一兵士(小野田寛郎氏/ヌードとはオノダのもじり)の実話を音楽化。人間味に溢れたドラマティックなサウンド・ストーリー。81年作。

  • CAMEL / SINGLE FACTOR

    80年代に相応しいポップな作風の82年作、アンソニー・フィリップスがゲスト参加

    アンディ・ラティマー(g)のヴォーカル・ナンバーを中心に、80年代に相応しいポップなサウンドを収録。82年作。

  • CAMEL / STATIONARY TRAVELLER

    東西分割時代のベルリン市民たちに焦点を当てたシリアスな作風の84年作

    東西分割時代のベルリンの人々をテーマにしたシリアスな内容のアルバム。内省的な彼らの美学が光る。1991年に復活アルバムをリリースする以前のラスト・スタジオ・アルバム。1984年作品。

  • CAMEL / COLLECTION

    86年リリースのベスト盤

  • CAMEL / ON THE ROAD 1981

    81年のBBCライヴ音源、同年リリース作『NUDE』の再現を含む全13曲

  • CAMEL / COMING OF AGE (CD)

    97年ワールドツアーの模様を収録したライヴ盤、全28曲

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