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スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。 – 第ニ回 ヴァン・ダー・グラーフ『クワイエット・ゾーン/プレジャー・ドーム』

こんにちは。今冬こたつを出してからというもの、いつの間にかこたつ布団にくるまって寝落ちしてしまうのが悩みのカケレコ・スタッフの佐藤です。

前回からスタートした「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。

第二回で取り上げるのは、英国のプログレ・グループ、ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター(ヴァン・ダー・グラーフ)が77年に発表した『The Quiet Zone / The Pleasure Dome』です。


前回取り上げたジェントル・ジャイアントとほぼ同時期に、5大プログレ・バンドからの次のステップとして手を出してみた彼らだったのですが、一聴して耳を奪ったのが、孤高の詩人と称されるピーター・ハミルの存在感みなぎるヴォーカル。

もちろんジョン・アンダーソンやピーター・ガブリエルのような、バンドの音楽性の中で欠かせない特徴として機能しているヴォーカリストたちは知っていましたが、ヴォーカルがここまでのエネルギーと鬼気迫るまでの表現力を発揮しているバンドというのは、プログレに限らず出会ったことがほとんどなかったため、非常に衝撃的だったのを覚えています。彼のヴォーカルを的確に表現するのはなかなか難しいですが、個人的にはロック界でも数少ない「魂の歌声」と呼びうるものだと思っています。

そんな特異性もあって、「演奏がまずあって、そこにヴォーカルが乗ってくる」という通常のバンドの印象とは異なり「ヴォーカルをバンド演奏が取り巻く」という印象を与えるのがVDGG。ハミルによって紡がれる深遠な詞を含めて「歌を聴かせるプログレ」として、緻密で技巧的なアンサンブルを土台とした同時期のプログレ・グループたちとは一線を画する独自の魅力を放っていたグループです。

さてそんなVDGGと言えば、69年発表の2nd『The Least We Can Do Is Wave To Each Other』70年作『H to He Who Am The Only One 』71年作『Pawn Hearts』という初期3作品、あるいは活動休止期間を経た75年作『Godbluff』76年発表の『Still Life』『World Record』までを合わせた6作品が全盛期としてよく知られているように思います。

ダイナミックかつ重厚なリズムとオルガン&サックスが醸し出すダークかつ生々しい質感が特徴的な演奏と、そこから浮かび上がってくるある種の崇高さを伴ったヴォーカルが劇的に対比されることによって感動を呼び起こす、唯一無二の音楽体験を味わわせてくれる彼らですが、そういったVDGG本来の醍醐味とは趣を異にする一枚が、『World Record』の次にリリースされた77年の8th『The Quiet Zone / The Pleasure Dome』です。

本作は、04年に活動を再開するまでは彼らの最後のスタジオ・アルバムだった作品。この作品が過去の作品と大きく異なっているのがメンバーチェンジに伴う楽器編成の変化で、全盛期のVDGGサウンドを担ってきたオルガン/キーボードのヒュー・バントンとサックス奏者デヴィッド・ジャクソンが前作制作後に脱退しています。

演奏面でVDGGを特徴づけていたこの2人が抜けたとあっては、たとえピーター・ハミルという揺るぎなきヴォーカリストがいるにしても、「え!VDGG大丈夫なの!?」と不安になりますよね。

何を隠そうスタッフ佐藤自身、「ヒュー・バントンのオルガンがないVDGGなんて!」という思いからずっと未聴の作品だったのですが、いざ聴いてみて「こりゃ、かなり良いんじゃない?」となったのがここ数年のこと。

初期メンバーだったベーシストのニック・ポッターの復帰とともにバンドを窮地から救ったのが、新加入したグラハム・スミスというミュージシャン。VDGGと同じCHARISMAレーベル所属だったSTRING DRIVEN THINGに在籍したヴァイオリン奏者で、本作と同じ77年にリリースされたハミルのソロ作品『OVER』への参加を経ての加入となっています。

またこの大幅なメンバーチェンジに伴い、バンド名からジェネレーターが取れて「ヴァン・ダー・グラーフ」となります。この改名には、サウンド面の大きな変化を受けて、これまでのVDGGとしての活動との決別の意味が込められているのかもしれません。

そんな本作、鋭く切れこんでくるスリリングなプレイから気品たっぷりの優雅なプレイまで自在なヴァイオリンがフィーチャーされた、すっきりとしたスタイリッシュなサウンドを聴かせるのが特徴で、前作までの闇へ沈み込んでいくような美しくも重厚なサウンドは、英国的な格調高い叙情美へと姿を変えているのが印象的です。ハミルのヴォーカルも以前の緩急激しく迫ってくるスタイルに比べ、落ち着いた穏やかな表情が中心となっており、彼らの全作品の中でも非常に聴きやすい内容に仕上がっているのではないでしょうか。

1.Lizard Play

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3.Siren Song

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6.Cat’s Eye Yellow Fever Running

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今回の「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」、いかがだったでしょうか。
今後もなかなかスポットライトが当たらない作品を取り上げ、改めてその魅力の一端を伝えていけたらと思います!

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一般的にはあまり注目を集めることのない作品たちの中から、スタッフ佐藤が愛して止まない作品たちを取り上げて、その魅力を語ります!


MEET THE SONGS 第115回【ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター特集!】

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今日のMEET THE SONGSは、孤高の詩人ピーター・ハミル率いるダークな英国プログレ・グループVAN DER GRAAF GENERATORを特集!

VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF)の在庫

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / PRESENT

    VDGG、05年復活作

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / TRISECTOR

    08年作

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / DO NOT DISTURB

    ピーター・ハミル、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスのトリオ編成で録音された16年作13thアルバム

    ピーター・ハミル率いる英国プログレ屈指の名バンドによる2016年作13thアルバム。メンバーは、ピーター・ハミルの他、オリジナル・メンバーであるヒュー・バントン(Key)、ガイ・エヴァンス(Dr)というトリオ編成。前につんのめるようなテンションいっぱいのリズムを土台にハモンド・オルガンが分厚いトーンで荘厳に鳴り、歪んだギターがうねるアンサンブル、そしてハミルの存在感抜群のヴォーカル!円熟を増したVDGGサウンドに痺れるさすがの逸品です。ピアノをフィーチャーしたリリカルな楽曲の「孤高」っぷりにはやはり感涙。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / AEROSOL GREY MACHINE

    69年デビュー作、英国アート・ロックの傑作

    ピーター・ハミル率いる英国プログレッシヴ・ロック屈指の名バンド。69年の記念すべき1stアルバム。幻想的なハモンド・オルガンやハープシコード、メロウなアコギのストローク、そして、ピーター・ハミルのエモーショナルなハイ・トーンの歌声と「狂気」と「叙情」が同居する孤高のメロディ・ライン。69年という「プログレッシヴ・ロック」前夜の空気感を見事に収めたアート・ロック・サウンドが実に魅力的です。後の強烈なプログレ作品と比べられ、インパクトで劣る分、過小評価されていますが、もしこの一枚のみで解散していたとしたら、逆にブリティッシュ・ロックの名作としてもっともっと評価されていたことでしょう。ずばり名作です。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / H TO HE WHO AM THE ONLY ONE

    70年作、ロバート・フリップがゲスト参加、VDGGならではの暗澹たるエネルギーが渦巻く3rdアルバム!

    非凡なる才能を持ったボーカリストPeter Hammillを擁し、難解な哲学詩と前衛的なアプローチ、初期のKING CRIMSONに負けず劣らずのへヴィネスと神秘性を兼ね備えたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドの70年3rd。KING CRIMSONからRobert Frippがゲスト参加した本作は、次作以降飛躍していく彼らの勢いを感じさせる重要作であり、ロックのダイナミズムとアヴァンギャルド性が同居した傑作となっています。Peter Hammillの描く世界観も非常に内省的なものやダークな色合いを放っており、彼らの個性が一気に花開いた個性的な1枚です。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / LEAST WE CAN DO IS WAVE TO EACH OTHER

    カリスマ・レーベル移籍第一弾、独自の暗黒プログレを確立した70年リリース2nd、冒頭3曲の流れは鳥肌もの!

    非凡なる才能を持ったボーカリストPeter Hammillを擁し、難解な哲学詩と前衛的なアプローチ、初期のKING CRIMSONに負けず劣らずのへヴィネスと神秘性を兼ね備えたイギリスのプログレッシブ・ロックバンド。カリスマ・レーベルに移籍しての第一弾で、個性を確立した出世作。1曲目と2曲目の対比がとにかく見事。1曲目「Darkness」での狂気が渦巻くヘヴィ・ロックから一転して、壊れ落ちそうな繊細&リリカルな2曲目「Refugees」。強烈なインパクトで聴き手に襲いかかる名作。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / PAWN HEARTS

    孤高の詩人ピーター・ハミル率いる英国プログレ史上の名バンド、彼らの最高傑作に推す声も多い71年作4th

    非凡なる才能を持ったボーカリストPeter Hammillを擁し、難解な哲学詩と前衛的なアプローチ、初期のKING CRIMSONに負けず劣らずのへヴィネスと神秘性を兼ね備えたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドの71年4th。前期VAN DER GRAAF GENERATORの総括的作品として名盤の誉れ高い本作は、20分を超える大作を中心にした3曲で構成され、Peter Hammillはもちろんのこと、Hugh Bantonの痛ましいほどに強烈なオルガンさばき、David Jacksonの荒々しいダブル・ホーンが刺激的な1枚。ゲスト参加したKING CRIMSONのRobert Frippでさえ霞みかけるほどに、一節一節強烈なインパクトを残しています。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / GODBLUFF

    再始動後の第1弾となった75年リリースの通算5作目、ドラマ性溢れる名曲「Undercover Man」、ハミルの凄絶なヴォーカルに震える「Arrow」など収録

    カリスマ移籍後3枚の傑作アルバムを発表して72年に解散。その後、ソロ・アルバムをはさみ75年に再結成。本作は、その再結成第一弾作品。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / GODBLUFF LIVE 1975

    75年活動再開直後、ベルギーでのライヴ映像

    1975年活動再開直後、ベルギーのシャルルロアでのライヴを収録したDVD。 (注)直輸入盤のため、日本語字幕は表示されません。)

    • ARDV1012

      直輸入盤、解説帯付仕様、DVD、NTSC方式、リージョン記載なし、日本語字幕無し、ブックレット元からあったか不明、定価3500+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      帯中央部分に色褪せあり、ジャケに若干スレあり・軽微な折れあり

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / STILL LIFE

    76年リリース、「PAWN HEARTS」と共に彼らの代表作とされる傑作

    再結成第2作。テンション溢れるバンド・アンサンブル、鬼気迫るヴォーカル、流麗なメロディーとどれをとっても第一級の名盤。

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / WORLD RECORD

    ハミルによるエレキギターが大きくフィーチャーされた76年作、レゲエを取り入れた大作「Meurglys III」、崇高さに満ちたラスト曲「Wondering」が圧巻

    76年作の7thアルバム、再結成後では3作目にあたる作品。ハミルのヴォーカルも唯一無比。涙無しでは聴けないドラマティックな「WONDERING」は、全音楽ファン必聴の大名曲

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / VITAL: LIVE

    78年1月26日、ライヴ・アット・マーキー・クラブ、元STRING DRIVEN THINGのvln奏者Graham Smith在籍時の6人編成

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / FIRST GENERATION

    2ndから4thまでのベスト、アルバム未収の「THEME ONE」を収録、86年リリース

  • VAN DER GRAAF GENERATOR(VAN DER GRAAF) / CHARISMA YEARS

    21年リリース、Peter Hammill率いる孤高の英プログレ・グループ、CHARISMAレーベル在籍時代の作品や音源/映像をまとめた20枚組ボックス!!

    • 3523454VIRGIN

      17CD+3ブルーレイの20枚組ボックス、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック40曲、ブルーレイはリージョンフリー

      レーベル管理上、ボックスに若干のへこみや若干の汚れがある場合がございます。ご了承ください。

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