プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」 – 第一回 ジェントル・ジャイアント 『アクワイアリング・ザ・テイスト』

こんにちは、カケレコ・スタッフの佐藤です。
12月も中旬に入り、徐々に年の瀬も近づく今日このごろ、今年は暖冬とは言われていますが、ここ寄居も寒さが身にこたえるようになってきました。

さて今回からスタートする本コーナー「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。

第一回で取り上げたいのが、英国プログレ界屈指の技巧派集団ジェントル・ジャイアントによる71年発表の2ndアルバム「アクワイアリング・ザ・テイスト」です。

ジェントル・ジャイアント。それは所謂5大プログレ・バンドによってプログレッシヴ・ロックというものを知った私を、プログレ迷宮のさらに奥深くへといざなったバンドだと言っていいでしょう。

GGを初めて聴いた時の衝撃は今もって忘れられません。あまりの技巧と奇怪なリズムセンスと渦巻くコーラスに「何が起こっているのかわからない」というのが正直な感想で、生まれて初めて連続3回通しで聴いたのが彼らの作品でした。

5大バンドの有名作をひとしきり聴いて「プログレも大体わかってきたな、俺」などと謎の自信をみなぎらせつつあった高校生の浅ーいプログレ観は、ものの見事に打ち砕かれたのでした。

もし5大バンドまでで止まっていたらここまでプログレにも入れ込まず、それこそこうしてカケレコのスタッフとして記事を書いてはいなかったかも、と考えると、スタッフ佐藤にとってある意味人生すら左右したバンドだと言っても過言ではありません。

さて、そんなGGの一般的な評価を考えると、初期の代表作とされる72年発表の4th「オクトパス」に始まり、75年作7th「フリーハンド」や次作「インタビュー」あたりまでが傑作揃いで全盛期とみなされているかと思います。

たしかにリズムを強く打ち出した躍動感のあるサウンドにGGらしい多彩なアイディアが踊る中期の作風は大変魅力的ですし、実際私も大好きなのですが、70年代初頭というプログレッシヴ・ロック・シーンが成熟していく時期にリリースされた彼らの最初期の作品には、商業的側面を度外視した純粋な音楽的探求の結果としての、初期GGならではの輝きが宿っているように感じられます。

そんな彼らの初期作品の中でも特にスタッフ佐藤が愛して止まないのが、これぞプログレッシヴ・ロック!という「変態性」と「美しさ」が共存する2ndです。

まずはその変テコ度数の高さ。一体何拍子なのかにわかには判別できない特異なリズム、イタリア発祥の声楽マドリガルからの影響を感じさせる複雑かつ美麗なコーラスワーク、そして多彩な管楽器・弦楽器を交え各楽器が入り乱れるめまぐるしい楽曲展開。唯一無二の音楽性は2作目にして完成の域に達しているから驚きです。人を喰ったようなジャケットからも、只者ではない感が伝わってくるようですね。

そんな変態性を覆うのが英国の薄暗い森にかかった霧を想わせる幻想性で、多彩なアイデアが詰まった楽曲が神秘的な美しさを纏うことにより、どこかミステリアスな魅力が滲み出したような逸品に仕上がっています。

本作ならではと言えるそのあたりの魅力がばっちり堪能できるのがこの3曲!

1.Pantagruel’s Nativity

試聴 Click!

雲間を漂うかのような独特の浮遊感とピリッと荘厳な中世音楽的要素を共存させた、めくるめくGGワールドへの入り口にぴったりなオープニングナンバー。そこへ武骨に押し込んでくるギターとの硬軟の対比が鮮やかに決まっています。このうっすらと広がるダークな幻想性は本作ならではの魅力と言えるのではないでしょうか。いやはや一曲目から怒涛の名曲ですね~!

3.The House, The Street, The Room

試聴 Click!

地を這うように怪しげなリフをなぞってデレク・シャルマンが気骨みなぎるパワフルなヴォーカルを披露する歌パートと、各種管弦楽器の音を細かくつなげたあまりに緻密に超絶インストゥルメンタルパートを一つにした実にGGらしいナンバー。ハードロック的な豪快さとアーティスティックな職人的繊細さをこの振り幅で表現できる高度な音楽性もさることながら、一曲の中にその両方を放り込んでしまうセンスは脱帽ですよね。この時代の彼らの持ち味が凝縮されたようなナンバー!

6.Moon Is Down

試聴 Click!

本作のハイライトと言いたい幻想的な名曲。初期クリムゾンの薄暗い叙情性と初期ジェネシスの寓話的な世界観を合わせたような前半から、流れるようにホーンが駆け抜けるブラス・ロック的な展開を経て、淡いトーンのキーボードをフィーチャーしたカンタベリー・タッチの軽やかな演奏へ。メインテーマへと回帰して少しミステリアスなキーボードの音色を残して締め、という持ち前の変幻自在さをフル発揮した一曲。英国的な気品が匂い立ってくるような美しすぎる一曲です。


というわけでお送りしてきた「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」、いかがだったでしょうか。
今後もなかなかスポットライトが当たらない作品を取り上げ、改めてその魅力の一端を伝えていけたらと思います!

「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」他の記事はコチラ!

GENTLE GIANTの在庫

  • GENTLE GIANT / 1980… LIVE IN THE USA

    ラスト・アルバム『シヴィリアン』リリースに伴うツアーより80年5月の米ニューヘイヴン公演を収録

  • GENTLE GIANT / ACQUIRING THE TASTE

    実験精神あふれる趣向を凝らしたアイデアの数々を技巧的なアンサンブルで描き出す、初期GGの持ち味が発揮された71年2nd

    Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Acquiring The Taste』は1971年のセカンド・アルバムであり、聴き手を選ぶツウ好みの内容ながら、彼らの溢れんばかりの音楽的探究心が結実したという意味ではやはり傑作。GENTLE GIANTといえば、メンバーたちのマルチ・プレイヤーぶりがしばしば話題となりますが、その印象は本作を発端としているのでしょう。おびただしい数の楽器がクレジットされており、その様はまるで劇薬を生み出さんとするマッド・サイエンティストの実験室のようです。一聴して耳に残るような派手さにこそ乏しい印象を持つものの、プログレッシヴ・ロックの特徴のひとつである緻密なバンド・アンサンブルの始祖的な位置にある作品であり、噛めば噛むほど味が出る、聴くたびに新たな発見のある名盤です。

  • GENTLE GIANT / THREE FRIENDS

    相変わらずのアイデア溢れる技巧的な演奏と、コンセプトに基づいたドラマティックな楽曲構成が見事な72年作3rd

    Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、ルネサンスの様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Three Friends』は1972年のサード・アルバムであり、ドラマーのMartin Smithがメンバー間の確執により脱退、後任ドラマーにMalcolm Mortimoreが迎えられ制作されました。その内容は、GENTLE GIANTにとって初のコンセプト・アルバム。タイトルの通り「幼馴染の3人が資本家、芸術家、労働者になり、それぞれ別々の人生を歩んでいく」というストーリーに基づきアルバムが進行していきます。GENTLE GIANTのひねりの効いた音楽性は本作でも健在であり、幼い頃を回想する懐かしくも寂しいようなテーマと絶妙にマッチング。グループは本作でアメリカ・デビューを果たし、ビルボード・チャート入りを経験しました。また、本作を最後にドラマーMalcolm Mortimoreは脱退し、グループは新たなドラマーJohn Weathersを迎えることになります。

  • GENTLE GIANT / IN A GLASS HOUSE

    初期の中世音楽エッセンスと中〜後期の特徴であるリズミカルなロック・サウンドが一体となった、過渡期ならではのサウンドを聴かせる73年5th、名盤!

    Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。前作『Octopus』をリリース後に三兄弟のPhil Shulmanが脱退するアクシデントに見舞われたグループでしたが、そのピンチを乗り越え発表された本作でも彼らの生み出すサウンドに一切ブレはありません。1973年の5thアルバム『In A Glass House』は、「ガラスの家に住む者は石を投げてはならない」という格言(自分自身も完璧ではないのだから他人のことを批判してはならない、という意味)から生まれたタイトルであり、その名の通り、ガラスが割れる音色を切り貼りしたリズムから始まります。4thアルバム『Octopus』時に、ドラマーがMalcolm MortimoreからJohn Weathersに交代した好影響は本作にも表れており、バラエティー豊かなリズムの存在によって彼らの技巧色が際立つ作風となっています。その一方で、リコーダーによる古楽的なアプローチなど、クラシカルな聴きどころもある名盤です。

  • GENTLE GIANT / FREE HAND and INTERVIEW

    アイデアが整理され聴きやすさが増した75年作/76年作を収録

    ジェントル・ジャイアントの7thと8thとの2in1CD。

  • GENTLE GIANT / KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS

    75年のNY公演を収録!

  • GENTLE GIANT / PLAYING THE FOOL

    76年欧州ツアーを収録、多彩な楽器が乱れ飛ぶ、超絶技巧バンドの面目躍如たる傑作ライヴ!

    Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。1976年のヨーロッパ・ツアーの模様を収めた77年発表のライブ・アルバム『Playing The Fool』は、セカンド・アルバム『Acquiring The Taste』を除いた、当時リリース済みのすべてのスタジオ・アルバム(1976年の8thアルバム『Interview』まで)からバランスよく選曲された作品。本作への賛辞として最も多いのは、「ライブで録音された演奏だとは信じられない」というものですが、その一言が本作のすべてを表現していると言っても過言ではないでしょう。スタジオ・アルバムの再現度の高さはもちろんですが、特にマルチ・プレイヤーのメンバーたちが次々と楽器を持ち替えながらこの演奏を繰り出しているという事実に驚かされる必聴作です。

    • RTE00354DRT

      35TH ANNIVERSARY EDITION、スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、2枚組、DISC1はエンハンスドCD仕様、デジタル・リマスター

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり

  • GENTLE GIANT / GIANT ON THE BOX(映像)

    全盛期と言える74〜75年のTV出演映像&音源、各12曲収録

    74年ドイツ、75年アメリカ・ツアー時のTV放送ライヴ映像を収録。全盛期の超絶パフォーマンスをたっぷり味わえる必見DVD映像!いずれも良好な画質・音質にて、楽器の持ち替えを含む超絶的テクニックとアンサンブルを見ることができます。

  • GENTLE GIANT / OUT OF THE WOODS – BBC SESSIONS 1970-75

    70-75年の間に収録されたBBCセッション

  • GENTLE GIANT / OHIO RUNAWAY

    75年放送用音源。

「GENTLE GIANTの在庫」をもっと見る

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。