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「音楽歳時記」 第八回 嵐・台風・低気圧と音楽 文・深民淳

8月下旬に入り、日本全国を包み込んでいたあの狂気に満ちた暑さは幾分和らいだものの、こちらはアルバム完成時期が8月にずれ込んだため、9月発売のTHE WINARY DOGSの2ndアルバム『Hot Streak』の制作進行が大幅に遅れ、また今年も暑いさなかにラッシュ・リリースの大混乱がやってきて、完全に夏バテ状態になっています。僕の急に具合が悪くなりまして、自分でも大丈夫か?という感じでした。皆さんもご自愛ください。やっと暑さが一段落みたいな時期が実は結構危ないらしいです。しかし、本当に9月に発売できるんでしょうかね…。内容はとてつもなく凄いハード・ロック・アルバムなんですが、今はそれを楽しむ余裕もなくハラハラして、ついでに絶不調という状態です。

さて、今年は台風、多いですね。東京エリアの被害はそれほどでもないですが、沖縄や九州地方は直撃したものもあり、ニュース等で見ていると甚大な被害が出ており、かなり深刻な状況です。これを書いている今も、15号と16号がじわじわと日本列島に近づいてきています。

台風は低気圧ですが、気圧の変化は人体にも確実に影響を与えます。気圧が高ければ人間の体は四方八方から押さえつけられている状態となりますが、低気圧となるとそれが緩むわけですから、手っ取り早くいえば高気圧の時よりむくんだ状態になるわけです。これは人間の血流にも影響を及ぼすため、人によっては頭痛、めまいをはじめとして数々の不具合を引き起こす原因となります。健康な人であれば、その影響は微々たるものですが、それでも確実に違いは生じているのです。耳というか聴覚も影響を受けていると思いますね。台風が近づき気圧が下がってくると聴き馴れた作品にもほんのわずかではありますが、聴取上の変化が生じるように僕は感じます。音楽を聴くのに気圧の変化なぞ普段は気にもかけないですから、変なこと書くヤツだなぁと思われそうですが、まずは自分で確かに違いを感じた作品をいくつか挙げておきましょう。

台風で荒れた天気の夜のフェイヴァリット・アルバムといえば、個人的にはこれ!

PROCOL HARUMの『Exotic Birds And Fruit』(1974年)です。名盤の誉れ高い『Grand Hotel』に続き、再度プロデューサーにクリス・トーマスを迎えて制作された作品です。『Grand Hotel』、その前のエドモントン・シンフォニー・オーケストラを従えてのライヴ・アルバムでは2作続けてオーケストラを起用していましたが、本作ではバンド+部分的にBJコールというシンプルな編成に戻った作品でした。多分にこのアートワークからの印象もあるのでしょうが、まさに亜熱帯性の湿り気を帯びた風の中に古い書籍の放つ古紙と黴の入り交じった匂いと家具のポリッシャーの微かな刺激臭が入り交じったような空気が立ちこめるサウンドが詰まった作品です。特に台風が来ている気圧が低い時に聴くと、初期PROCOL HARUMのオルガン奏者マシュー・フィッシャーの端正なプレイとは異なり、土着的なテイストも持ち合わせたクリス・コッピングのオルガンが部屋の中で渦巻くかのような印象を受けます。わざと音の分離を濁らせたかのようなクリス・トーマスのプロデュースが低気圧になると映えるといったところでしょうか。

評論家筋の評価は高かったものの、『Grand Hotel』ほどの成功を収めることが出来ずに終わった作品ですが、「Nothing But The Truth」、「As Strong As Samson」などライヴでも定番のナンバーも含んでおり、侮れない作品です。実際これが好きという人も多いですしね。

前項でも名前が挙がったマシュー・フィッシャーのPROCOL HARUM脱退後の1stソロ『Journey’s End』(1973年)のタイトル曲3部作も低気圧の中で聴くと印象が変わるナンバーです。なんだかボーっとしたユルい感じの「Interlude」から一転、黄昏感漂うピアノに導かれ始まるボーカル・パート「Part. 1」、バンドとオーケストラが一体となり渦巻きながら展開していくインスト・パート「Part. 2」。クラシカルで哀愁漂うメロディラインが印象的なナンバーで、いかにもPROCOL HARUM出身の人ならではのサウンドですが、「Part. 1」後半の重厚なブラスがメロディを受け持つパートの部分が特に気圧が低いとブラスのメロディが床の上を緩やかに流れていくかのような印象を受けます。PROCOL HARUM脱退後のマシュー・フィッシャーは意識的にPROCOL HARUMから離れていこうとした意識もあったようで、このタイトル曲以外は’70年代のブリティッシュ・マナーに則ったポップ・チューンで構成されています。

1960年後半サイケデリック・ムーヴメント華やかなりし時代に活躍したLEFT BANKというバンドがあります。サイケデリック・ポップの名曲「Walk Away Renee」、「Pretty Ballerina」を立て続けに放った今も人気の高いバンドです。彼らが1968年に発表した2ndアルバム『The Left Bank Too』も個人的に低気圧の時の定番アルバムとなっています。このアルバムの中に「Desiree」という曲が収録されています。どちらかというとこのオリジナルよりカケレコ・ユーザーにはFIRE BALLETがカヴァーしたヴァージョンのほうが有名かもしれません。クラシカルで華麗なコーラスが印象的なポップ・チューンなのですが、このオリジナル・ヴァージョンを気圧がだいたい950ヘクトパスカルを下回っている時(まさに台風の時ですね)に聴くと、頭の中にうっすらと靄がかかったような感覚に陥り、かなり現実離れした感覚を覚えます。まぁ、個人の話なのですべての人が同じ感覚を覚えることはないわけですが、色々試してみると気圧の変化で印象ががらりと変わったり、違った鳴り方をする作品は結構あると思います。台風など来ないにこしたことはないのですが、晩夏から秋にかけては、高気圧と低気圧が出たり入ったりの日々が続きます。気圧差が大きく出るシーズンとなるため、ほんの少しの変化とはいえ、慣れ親しんだ作品にもちょっとした影響を与えることは多々あります。ほんのわずかな変化でも見つかると楽しいし、多分に気のせいだとしてもどこにも出られない嵐の夜の楽しみ方として、僕は毎年「あれはどうだろう、これは良いんじゃないか?」と色々試しています。まぁ、端から見れば変な人です。

自分の話ばかりしていても仕方ないので、嵐や台風がらみの曲、作品に目を向けてみましょうかね。年寄りですから、まずはこれを思い出してしまいます。THE ALLMAN BROTHERS BAND『Live At The Fillmore East』。おじさん、おばさんの好きな「Stormy Monday」収録アルバムです。鉄板の人気作ですから説明は不要でしょう。ブルース系のセッション・バーなんか行くと必ずやる人がいるくらいの定番ナンバーなんですが、実は僕、『Live At The Fillmore East』はメディア違いやプレス違い出ると毎度買うのですが、聴くときはこの曲いつも飛ばしてしまいます。顰蹙覚悟で言わせてもらえばかったるいんですよね。すごくよく出来た構成のブルースで、端正な作りになっているのですが、そのまとまり具合が逆にイラっとくることような感覚って皆さんはありませんか? 逆方向に暴走しそうなので先に進みましょう。

著名アーティストが名を成したバンドが解散、もしくは脱退した後に結成したそこそこ有名なバンドなのだけれども、イメージが掴みにくいバンドというのは結構多く、元ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのノエル・レディングが在籍していたFAT MATTRESSもそんな感じのバンドのひとつです。ここでは2006年に出たCD2枚組のコンピレーション・アルバム『Magic Forrest – The Anthology』を紹介しておきます。スレッショルド初期のMOODY BLUES、HONEYBUSや後にTUCKY BUZZARDに発展するTHE ENDあたりが好きなリスナーには好まれそうなほんのりサイケデリック・テイストを残したポップなロック・サウンドがメインですが、曲によっては、ダウナー感のない初期TRAFFICみたいなサウンドを持つ曲があったりとなかなか一筋縄ではいきません。今回のテーマ繋がりとしてはCD2の1曲目に「The Storm」なる曲が収録されていますが、ここで紹介しておきたいのはこのバンドにギタリスト、シンガー、コンポーザーのスティーヴ・ハモンドが在籍していたこと。このFAT MATTRESSの前にはMARK ALMONDのジョニー・アーモンドが’60年代末にデラム・レーベルから発表した『Music Machine Patent Pending』に参加していたり、後にクリス・ファーロウのTHE HILLのメンバーとなったり、ミック・ファレンとも活動を共にしていた時期もあったミュージシャンです。馴染みがないかもしれませんが、この人が残した代表曲のタイトルを挙げるとほとんどの方が「あれか!」と思うのではないでしょうか?QUARTERMASS、RAINBOWが取り上げたことで知られる「Black Sheep Of The Family」の作者なのです。この『Magic Forrest – The Anthology』にはCD1の後半にその「Black Sheep Of The Family」の本人ヴァージョンが収録されています。本人ヴァージョンのほうはQUARTERMASS、RAINBOWのヘヴィなアレンジとは大きく異なるアコースティック・ギター&ピアノ主体のバンド・ヴァージョンで先の2バンドのヴァージョンで同曲に親しんでいた者としては意表を突かれたアレンジで記憶に残っていたため書かせてもらいました。ちなみにクリス・ファーロウのTHE HILL時代のアルバム『From Here To Mama Rosa』(1970年)ではクリス・ファーロウが歌う同曲を聴くことができます。

才能が迸り活動が多方面に渡り焦点が絞り込みづらいアーティストというのもいます。ジャック・ブルースはその典型ではないでしょうか?CREAM解散後のソロ・アルバムはアルバム毎にサウンドの傾向が変わったり、そのソロの一方でWEST, BRUCE & LAINGでの活動もあったりとあっちこっち飛びすぎのイメージが強いですね。ここではテーマに合わせ1974年発表の『Out Of The Storm』を挙げておきます。一応バンド形態のバックを従えていますが静のイメージが強いヴォーカル・アルバムに仕上がっています。これより前に発表しているアルバムで強いて同傾向作を挙げれば『Harmony Row』(1971年)となるのでしょうが、あっちのほうがまだロック色が強く、こちらはもっと静謐なイメージ、サウンドを持った作品に仕上がっています。こういう書き方をするとなんかつまらなそうと思われてしまいそうですが、実際そういう側面あります、このアルバム。(おい、おい)今回のテーマがらみの収録曲「Into The Storm」も調子悪いときに聴くと妙にかったるい曲なのですが、メロディラインがなんか屈折していて、アクの強いジャック・ブルース節がこの曲のみならず全面展開されており、不思議な感触を持つヴォーカル・アルバムということもできるかと思います。また’90年代以降から晩年にかけての活動にリンクするサウンドを持ったアルバムでもあります。しかし、このアクの強さは傾向こそ違えども、フランク・ザッパにも通じるものがあるなと思ったら、このふたりは共演していますね。ザッパ1974年発表の『Apostrophe』、そのタイトル曲で。ザッパのアクの強さはジャック・ブルース以上のところがありますから、敬遠される方も多いですが、このアルバムはザッパのアルバムの中でも売れたアルバム上位に位置する作品で、ザッパとジャック・ブルースが共演を果たしたそのタイトル曲はインストのヘヴィ・ロック・フュージョンで重たいリズム・セクションの上でふたりともガチで弾き倒す強力なナンバーに仕上がっています。ああ、今回も絶好調で脱線していますですね。

名前はよく知っているんだけど、そういえばちゃんと聴いたことない、というソロ・シンガーも男女問わず多いと思います。キキ・ディーなんかもそんな部類に入る人なんじゃないかと思うんですがね。どうしても本人がどうのこうのではなく、エルトン・ジョンの、という枕詞がうかんでしまう女性シンガーで、エルトン・ジョンとのデュエット曲「恋のデュエット」はすぐに頭に浮かぶけど、他何だっけ?みたいな感じになってしまいがちです。でも最近になって立て続けに2in1スタイルやペーパーケースに入った5枚組の廉価版ボックスシリーズの一環として再発がなされ聴く機会が多くなってきているようなので、再評価を期待したい女性シンガーのひとりです。ここでは、テーマがらみの「One Jump Ahead Of The Storm」が収録された1978年発表の『Stay With Me』を紹介します。高くもなく低くもないしっかりと伸びのある理想的な声質にちょっぴりビターなテイストが含まれているあたり白人でありながら黒人女性シンガーに近いイメージがあり、実際、モータウンからアルバムを出したこともある実力派。音程、歌唱力の高さも折り紙付きなんですが、この人の場合この本来セールス・ポイントになるべきところが逆にあだとなったように僕は思います。完璧すぎたかと。この『Stay With Me』もものすごく良く出来たAORアルバムで、発売当時ろくに売れていないのですが、良質の作品です。僕はリアルタイムで買いました。青い目は苦手(怖い)なんですが、目の形とほとんど影になっていますが顔のシェイプに殺られてしまった、極めて珍しいタイプのジャケ買いです。’70年代後半のAORタイプのアルバムのサウンド・メイクにありがちだった完璧に作り込んだバックに完璧なヴォーカルが乗ってしまうものだから、逃げ場がまったくなし、余白ゼロの世界になってしまっており、その辺に伸び悩んだ原因があるように思います。「One Jump Ahead Of The Storm」もストレートなロック・トラックでガッツ溢れる良い曲なのですが、やっぱりバックが完璧すぎで、これもう少しルーズなバックトラックだったら世界観はもう少し変わっていたかなと思います。iTuneのプレイリストで女性シンガーのリスト作ると必ず入れてしまう1曲目の「One Step」、ベット・ミドラー主演の映画『ザ・ローズ』の中で印象的だった「Stay With Me」を始め良い曲満載の作品なんですけどね。

嵐は自然の中で起きるだけではなく、電気の世界でも起きるようで、WHITE NOISE『An Electric Storm』(1969年)なんていうのもあります。大変奇天烈かつモンドなアルバムです。デイヴィッド・ヴォーハウスのプロジェクト、このWHITE NOISEは’75年にヴァージンから『White Noise 2』、78年に『Re Entry』を発表していますが、キワモノ感はこの1stが圧倒的に勝っています。今となっては完全にヴィンテージものの電子音の洪水の上に男女のサイケで妙にポップなメロディラインを持つヴォーカル・トラックが乗っかっているという、発表当時から今日に至るまでキワモノのそしりを受けながら、それでもひっそりと聴き続けられている珍盤です。ひっそりと聴き続けられている最大の理由はポップでおサイケな歌だけだったら良かったものの、その男女の喘ぎ声まで入っており、しかも後半なんかそれがこれでもかとばかりに続くものだから、スピーカーから流そうものなら家族から「いやだ、ポルノでも観ているのかしら、いやらしい!」と誤解されること必至のアルバム故。音楽好きどうしの会話の中でも「あれ、結構好き。あのゆったりサイケなメロディが結構頭に残るんだよね」などとはあんまりいわない方が無難という作品です。それでも英国オリジナルLPはアイランド・レーベルから出ていて、1969年発売なので初回プレスはピンク・アイランドだったりするので、コレクターの間ではそれなりの値段で取引されているし、僕自身も日本フォノグラム時代に新譜・カタログの両方を担当していたときに発売したら結構な枚数売れてしまいびっくりした記憶があり、きっと今でもひっそりと聴かれているに違いないでしょう。

さて最後に今月の1枚ですが、今月は誰かこのアルバム覚えている人いませんか?と逆質問です。大学時代輸入盤店でバイトしていた際、新譜で1枚だけ入ってきたものの誰も買わなかったので、僕が安値で買い取ったから聴いたことがあったアルバムで、年代的には1978年から80年の間に出た作品。バンド名は今月のお題に関連したSTORM(もしかすると曲タイトルと混同している可能性あり。あのTHE STORMではありません)、女性ヴォーカルをフィーチュアしたバンドで、ジャンル的にはハード・ロック風。ただ演奏があまりに下手なのでほとんどパンクみたいに聞こえた印象あり。サウンド傾向としては失敗しちゃったペット・ベネターみたいな音でB級どころかD級くらいの感覚。同じ頃、元SLACK ALICEのアリス・スプリングがカリスマ・レーベルから再デビューしたバンドがあってそれとイメージが似ていたような記憶なのですが、これも混同している可能性あり。どうしようもないアルバムだったので即売ってしまったのですが以降、中古盤店でも一度も見たことがなく、なぜかずっと頭に引っかかっているのですが、こんな不確かな情報でどなたか判る方いませんか?と言う質問でした。さて、大幅にテーマから外れていくここ数ヶ月の傾向を何とか修正すべく来月に向かいます。


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