2018年2月26日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
イタリアが誇る奇才Fabio Zuffantiやオランダの注目株Chrisをはじめ、世界各国からマルチ・コンポーザーによる良質な作品が続々と届けられています。
注目の作品をピックアップいたしましょう。
試聴しながら、往年のプログレへの愛情に満ちたソングライティング、そして一人でこなしているとは思えない巧みな演奏をどうぞお楽しみください。
まずはプログレの本場イギリスより登場した70年代英国へのリスペクトたっぷりの新鋭マルチ・ミュージシャンからご紹介☆
バークレイ・ジェームス・ハーヴェストとイングランドの遺伝子を合わせ持ったような英国マルチ・ミュージシャンだとっ!薫り高き英国叙情をこれでもかと含んだサウンドが堪らなすぎる注目新鋭、17年作!
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90年代以降のプログレシーンを盛り上げる北欧スウェーデンやイタリアに負けじと、本場イギリスからも、イエスやジェネシスやクリムゾンなど往年のグループのDNAを継いだ好グループが出てきております。注目の作品をセレクトいたしましょう。
英国なら、現キャメルにも在籍するこの天才マルチ奏者&コンポーザーによるプロジェクトも忘れてはなりませんね。まるで80年代頃のCAMELとBIG BIG TRAINが出会ったような、モダンでロマンティックで雄大なシンフォニーが眼前に広がるこの感じ…もう何というイマジネーション。
ご存知現英国シーンをリードする名バンドMAGENTAのギタリスト/コンポーザーですが、ソロではマルチプレイヤーぶりを発揮した一人多重録音作品をリリースしています。初期マイク・オールドフィールド作品へのオマージュとして制作されたこの14年作、本当に初期マイクが宿ったかのように凛々しくも繊細な音世界に圧倒されます。
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「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことをコンセプトに、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を幅広く紹介するコラム。担当は、MUSEAからデビューした日本のアーティストnetherland dwarf!
BIG BIG TRAINで活躍したドラマー/マルチ奏者による16年作3rd。エレクトロ要素を全編に導入しながらも終始メロディアスかつハートウォーミングに紡がれていく珠玉のシンフォニック・ロックは思わず溜息の出る美しさ。BBTファンにもお薦め!
初期ジェネシス愛に溢れたサウンドを繰り広げるメキシコのマルチ・プレイヤーで、ジャケットはあのポール・ホワイトヘッドが手がけてるって!?この17年作、ずばりジェネシスファン必聴の出来栄え。
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ジャケットはあのポール・ホワイトヘッド!才能みなぎるメキシコ出身のマルチプレイヤーXAVIER ASALIの17年作『PERSPECTIVE』を特集いたします!
ブルガリアの天才ギタリスト/マルチ・プレイヤーが放った17年ソロ作。この目まぐるしく展開しながらも手工芸品のように精緻に組み上げられた一人多重録音プログレ・ハード、素晴らしすぎ!メインストリームでも活躍できそうな凄い才能だなぁ…。
75年生まれのポーランド出身マルチ奏者のソロ・プロジェクトなのですが、キーボードやギターのプレイにはセッションで生まれたような「呼吸」や「間合い」が感じられ、こじんまりとした印象は皆無。オーロラのように美しくたなびくシンセサイザーが素晴らしいなぁ。
フランス出身のマルチ・ミュージシャン/コンポーザーが制作した、70年代プログレへのオマージュ作品。ソフツ『3rd』の「Slightly All the Time」をモチーフにしたナンバーや、「TARKUS」を変奏曲っぽくアレンジして大胆不敵に聴かせるナンバーなど、先人へのリスペクトと奔放さがバランスした見事なオマージュに仕上げています。
ブラジルはサンパウロ出身のコンポーザー&マルチ・インストゥルメンタル奏者。2013年デビュー作。
ずばり、ブラジルからのMOON SAFARIへの回答!透明感あるヴォーカルと美しいメロディ、そしてムーグとギターによるめくるめくドラマティックなアンサンブル。激レコメンド!
荘厳なオルガン、メロトロン、リリカルなピアノなど多彩なキーボード群が幾重にも折り重なって生み出されるサウンドは、GENESISの穏やかな面にフォーカスしたようなを甘くロマンティック~。仏のマルチ・ミュージシャン、11年デビュー作!
スウェーデンのマルチ奏者による2011年作。MOON SAFARIを彷彿とさせる北欧らしいリリシズムを持ったシンフォ・サウンドは絶品。爽やかでメロディアスなキーボード、壮大なオーケストラ、パワフルなドラムが一体となったアンサンブルは実に爽快!
2013年作が高く評価されているオランダの天才マルチ・ミュージシャンの2010年作2nd。ジェネシスが好きで、ニッチ・ポップ(特にクラトゥ!)も好きならド直球!
CHRISの溢れ出るイマジネーションの魅力に迫ったカケレコ・アーティスト・インタビューはこちら!
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注目のプログレ新鋭の魅力に迫る「アーティスト・インタビュー」企画。近年続々とメロディアスな名作がリリースされているオランダのプログレ・シーンの中でも特にその才能に注目が集まるコンポーザー&マルチ・インストゥルメンタル奏者のCHRISことChristiaan Bruinにインタビュー。
やはりトリを飾るのはこの人しか居ませんね!
FINISTERRE、LA MASCHERA DI CERA、HOSTSONATENを率いて次々にプログレ傑作を生み出した90年代以降を代表する奇才ファビオ・ズッファンティが2014年、活動20周年の集大成としてリリースしたモダン・プログレ大傑作ソロ!
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HOSTSONATEN、FINISTERRE、LA MASCHERA DI CERAを率いて次々の傑作をリリース。90年代以降のイタリアン・ロック・シーンを牽引する天才と言って過言ではないFabio Zuffanti関連作を特集!
1980年に英国はノッティンガムシャーに生まれ、1歳の頃に病気により視力を失った盲目のマルチ・ミュージシャン&コンポーザーPeter Jonesによるプロジェクト、待望の3rdアルバムとなる17年作!16年よりCAMELのメンバーとしてツアーにも参加する彼。前2作で聴かせたコンポーザー&プレイヤーとしてのレベルの高さはもはや揺るぎないものでしたが、いやはや今作も凄い完成度です。まるで80年代以降のシリアスなテーマ性を持ったキャメルを、ゴージャスなサウンドプロダクションで再現したかのような、モダンかつロマンティックで雄大なシンフォニック・ロックが眼前に広がるこの感じ…何というイマジネーション。BIG BIG TRAINあたりに通じるモダンでスタイリッシュな音像も活きていて、往年のプログレと現代のバンドらしいモダンなセンスがこれほど不可分に結びついたサウンドはそうそうないでしょう。これでもかとファンタジックなフレーズを紡ぎ出すキーボード、アンディ・ラティマーばりにドラマチックに泣くギター、芳醇に響くクラリネット&リコーダー、そして端正に歌い上げる美声のヴォーカル。彼一人で各楽器をこれだけ自在に操る才能にはただただ脱帽。各パートが次々と展開していく、映画を観ているような情報量の多い音像は前作からの持ち味ですが、それを複雑に感じさせない淀みなく流れるような緻密な構築性にも舌を巻きます。改めてとんでもない才能を見せつけられる思いのシンフォ傑作です。
スウェーデン出身、マルチプレイヤーFredrik Larssonによるプロジェクト作。ドラム奏者を加えた以外は彼が全ての楽器を担当。リリカルなピアノ、優しくつま弾かれるアコギ、爽やか且つメロディアスなキーボードの旋律、壮大なオーケストレーション、パワフルなドラムが一体となったドラマティックなアンサンブル。情感を込めたヴォーカルを中心に終始メロディアスな印象を残しつつ、変拍子を多用したダイナミックな楽曲展開で聴き手をグイグイ惹き込みます。北欧ならではの清涼感も全体から漂っており、MOON SAFARIに通じる魅力があります。GENESIS、YESの影響を見事に消化した完成度の高いシンフォ作。
ブラジルはサンパウロ出身のコンポーザー&マルチ・インストゥルメンタル奏者。2013年デビュー作。煌びやかなトーンで荘厳に鳴り響くキーボードとたおやかなアコギによるバッキング、その上で流麗なメロディを紡ぐムーグ・シンセ、精緻なタッチで伸びやかなメロディを奏でるギター、心にスッと入り込む透明感あるヴォーカルと豊かなコーラス・ワーク、美しくキャッチーなメロディ・ライン。オープニング・ナンバーを聴いて、ムーン・サファリが頭に浮かびました。ムーン・サファリのKey奏者/VoのSimon Akessonに曲調・声質ともによく似ている気がします。クイーンばりのコーラス・ワークから、ムーグとエレキがめくるめくメロディアスなリードを交換しあう間奏部分のドラマティックさも特筆。イエスの明快さとジェネシスの叙情美とがあわさったようなサウンドは往年のプログレ・ファンは歓喜すること間違いなしでしょう。2曲目もまた、瑞々しいアコギの爪弾きに、艶やかな音色のストリングスとピアノが入るイマジネーション豊かなイントロも良いし、そこから、タイトなリズムが入り、ムーグとギターがのびのびとリードを奏でるダイナミックなパートへとスイッチする展開も心躍るし、これは素晴らしいです。イエスやジェネシスのファンはもちろん、ムーン・サファリのファンは必聴と言える驚きの快作!
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