【ユーロロック周遊日記】Toti SolerとJordi Sabates率いるスパニッシュ・ジャズ・ロックの名グループOMの71年デビュー作『OM』

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一日一枚ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。

本日は、スペインはバルセロナのジャズ・ロック・シーンを築いた元祖と言えるグループOMの71年デビュー作『OMG』をピックアップいたしましょう。

スペイン北東部は地中海沿岸のバルセロナ出身で、69年に結成。わずか2年という短い活動期間ながら、バルセロナ中心で70年代に花開いたロック・ムーヴメント「ライエターナ・ミュージック」の礎を築いた名グループ。

中心はギタリストのToti SolerとピアノのJordi Sabatesで、2人とも60年にPIC-NICというポップ・バンドで活躍し、後にジャズ/フュージョン・シーンでも活躍するスペインを代表する名手。

2人に加えて、サックスやフルートなど管楽器奏者を加えた編成。ドラムは、イギリス人のPeter Hodkingsonで、なんとあのHENRY COWを結成するTim Hodkingsonの兄弟。

スペインのWikipediaでは、Tim Hodkingsonも在籍していた、と書いてありますが、CDのライナーにあるメンバー構成にはその名は確認できず。海外のレビュー・サイトを見ても、二分されているようです。はたして、真相はいかに。

Toti Solerはスペインの大学で音楽を学んだ後、69年にロンドンでも学んでいるようなので、そこで知り合ったのかもしれません。

さて、OM結成の動機は、イギリスでのプログレ/ジャズ・ロック・ムーヴメントや、『イン・ア・サイレント・ウェイ』や『ビッチェズ・ブリュー』での電化/ロック化したマイルス・デイヴィスから刺激を受け、自分達なりのジャズ・ロックを作ること。

オープニング・ナンバーから、ジョン・マクラフリンばりのシャープでテンションみなぎるギターが冴え渡っています。

Excusa 6/8

ロバート・ワイアットを彷彿させる手数多くダイナミックなピーター・ホジキンソンのドラムも特筆。

ずばりマイルス・デイヴィス『ア・トリビュート・トゥ・ジャック・ジョンソン』へのスペインからの回答！

続いて2曲目も聴いてみましょう。

フルートとピアノによる幻想的なイントロ。1分が過ぎるとゴリっとしたトーンのギターとタイトなドラムが入ってきて、粗野なジャズ・ロックへ！

3分頃のJordi Sabatesの艶やかに躍動するピアノも見事。

カケレコが押している北欧のジャズ・ロック・ギタリスト、Jukka Tolonenの同年リリースの1stにも負けない弾き倒しっぷりと豊かなイマジネーション。

A面を聴きましたが、B面も言わずもがなの素晴らしさ。こちらは買ってからのお楽しみに！

万華鏡のようなジャケはサイケデリック＆オリエンタルですが、実際のサウンドは、硬派なジャズ・ロック。

ソフト・マシーンや電化マイルスのファンをはじめ、ヘンリー・カウなどテンションみなぎるチェンバー・ロックのファンも驚愕必至の一枚。

バルセロナ発の「ライエターナ・ミュージック」にはたくさんのジャズ・ロック名作がゴロゴロしていますので、こちらの記事で引き続き探求ください！