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ESP-Disk「意識革命」の軌跡

1964年のNY、音楽とエスペラント語(人工言語)をこよなく愛する弁護士、バーナード・ストールマンによって設立された「ESP-Disk」。

エスペラント語のレコードをリリースするという異色なレーベル・コンセプトで船出したものの、早くも2番目のカタログでフリー・ジャズに方向転換。ALBERT AYLER、PHAROAH SANDERSのリーダーデビュー作を筆頭に、NYのアンダー・グラウンド・シーンで活況し始めていたフリー・ジャズをいち早く世界に発信し、新進気鋭のジャズ・レーベルとして世界から注目を集めました。ところが、18番目のカタログでまたもや異変。フリー・ジャズのリリースが続く最中に突如立ち現れてきたのが、FUGSやGODZといったいわゆるフリーク・アウト・ロック。その後も変異は続き、フリー・ジャズの延長線上にある完全即興、そして迎えたサイケデリックの季節...

エスペラント語に始まり、フリー・ジャズ、フリーク・アウト、完全即興、そしてサイケ。カタチを変えながらも執拗なまでにNYのアンダー・グラウンド・シーンを追い続け、世界に発信し続けたESP。

時代によってその音楽を指し示す呼び名こそ違えど、あるいはそこにドラッグ介在の有無はあれど、いずれにしても「意識革命」を追い求め続けたミュージシャン、オーナーであったことでしょう。

ここでは、ESP-Diskが追い求めた「意識革命」の軌跡を辿りながら、サイケのカタログを中心に、個性際立つ作品群をご紹介します。

ESP-Disk 「意識革命」の軌跡〜人はそれを「ニュー・ミュージック」と呼んだ〜



NYのアンダー・グラウンド・レーベル「ESP-Disk」の軌跡をご紹介するシリーズの第一弾。

50年代後半、それまでの主流だったハード・バップに変わるものとして台頭してきたフリー・ジャズ。西海岸で萌芽したフリー・ジャズはORNETTE COLEMANらの手によってNYに飛来し、ESPオーナーのストールマンも深く傾倒していきました。理論の束縛から放たれた自由な形態、フリーキーな演奏。そんな時節にストールマンが声を掛けたのが、ESPの歴史を大きく変えることになるALBERT AYLERでした。彼の『SPIRITUAL UNITY』を皮切りに、革新的なジャズメンの作品を立て続けに発信していくESP。ジャズの革命にたぎる彼らは、自分たちの音楽を「ニュー・ミュージック」あるいは「ニュー・ブラック・ミュージック」と誇りを持って呼んでいたそうです。

  • ALBERT AYLER TRIO

    「エスペラント語のレコードのみをリリースする」という大逸れたテーマで船出したESP。矢先に発表されたカタログno.2は、エスペラント語でもなければそこに秩序すらも存在しない新しい音楽=フリージャズ。米国アヴァン・ミュージックの源流のひとつ。

  • SUN RA

    自らを「土星からやってきた」と名乗る異色ジャズメン、サン・ラ。持ち味であるコズミックでフリーキーな管弦楽器が宙を飛び交う集団即興に、ESP仲間のファラオ・サンダースを迎え録音された64年ライヴ作。無秩序のなかにわずかな秩序を見いだす喜び。

  • CHARLES TYLER ENSEMBLE

    アイラーのグループに参加していたことで知られるサックス奏者の66年初リーダー作。ESPが誇る百戦錬磨のリズム隊のうえで、暴れ馬のごとくいななくドス黒いブロウ。マリオン・ブラウンとともに、ブルース/ファンクの血潮を色濃く感じる名プレイヤー。

  • GATO BARBIERI

    映画音楽界でも知られるアルゼンチン出身のテナー奏者、67年初リーダー作。火を噴くようなテナー、コントラバス、ドラム、そしてチェロという若干異色なカルテット編成。チェロの創出する不穏な響きは、欧州アヴァン/チェンバーに通じる異様な切迫感。

  • MARION BROWN

    今なお現役で活躍する名アルト奏者が活動初期の66年に発表した傑作。初期ESPのアヴァンギャルド色を残しながらも、繊細で叙情性に溢れたアルトに象徴的な瑞々しいジャズ・アンサンブルを楽しめる作品。リリカルなピアノ共々、神々しいまでの名演。

  • PHAROAH SANDERS

    米国を代表するテナー/フルート奏者の記念すべき1st。ESPカタログno.3。後のスピリチュアルな作品群と比べると、コルトレーン影響下のモード色の濃いサウンド。モードとフリーの間を行き来する奔放にして抑制の効いた瑞々しいアンサンブルが絶品。

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収録されている作品

ESP-Disk 「意識革命」の軌跡〜ザッパの「先」を行く元祖フリーク・アウト/フリー・ジャズの「先」に在る完全即興〜



NYのアンダー・グラウンド・レーベル「ESP-Disk」の軌跡をご紹介するシリーズの第二弾。

FRANK ZAPPA『FREAK OUT!』が西海岸で産み落とされる前年のこと。65年の東海岸NY、世界中のジャズ・ファンを唸らせていたESPが突如としてカタログに投入した元祖フリーク・アウト=FUGS。翌66年には更なるフリークス=GODZを投入。VELVETSに代表されるNYガレージ・シーンに着目してのリリースだったかどうか詳細は不明ながら、ZAPPAの先を行ってしまう先見の明、変化を恐れないスタンスはさすが。なお、ストールマンが懇願していたVELVETSのリリースが叶わなかったためか、ガレージ系のリリースは彼ら止まりです。一方で、フリー・ジャズの延長線上には、メロディ/ハーモニー/リズムの概念からも解き放たれた音と音との交信=完全即興が待っていました。

  • FUGS

    フリージャズの傑作群をリリースしていたESPが突然変異したカタログno.18。時は65年、西海岸でザッパのマザーズがデビューする前年に、東海岸でいち早くフリーク・アウトの狼煙を上げた変態ガレージ・バンド。フリージャズとはまた別の、意識の開き方。

  • GODZ

    FUGS同系フリーク・アウト路線の変態フォーク・バンド、66年作。音楽の常識をくつがえすような「開きっぱなし」の断片音が垂れ流される悪ふざけの境地。脱臼ストローク、ヨダレ垂れっぱなしヴォーカル、ニャーゴ!ニャーゴ!の大合唱...

  • PATTY WATERS

    かのオノヨーコに影響を与えたことでも知られる女性フリー/ジャズ・ヴォーカリストの65年1st。テルミンの如き奇声から、ひたすら「Black〜」とヒステリックに叫び続ける最終曲は真に狂気の沙汰。しかし彼女、スタンダードジャズを演っても絶品。

  • ALAN SONDHEIM

    アコースティックな実験/インプロ作。バグパイプ、スラックキー、果ては琴まで、世界中の楽器をESPのスタジオに持ち込んで、さぞ奇天烈な数日間を過ごしたことでしょう。ESPらしからぬ妙な温もりすら感じさせる「狂気+牧歌的なナニか」は唯一無比。

  • REVOLUTIONARY ENSEMBLE

    ヴァイオリン、コントラバス、ドラムによるインプロ・トリオの72年作。かのJ.L.ポンティにも影響を与えたというL.ジェンキンスのヴァイオリンはさすがに舌を巻く表現力。時に天空へ、時に当て所なく闇中を飛翔する弦響を軸に火花散らす一発録音作。

  • VELVET UNDERGROUND

    NYの人気ファンジン「イースト・ヴィレッジ・アザー」をESPが音源化した企画盤。4曲目、わずか1分余りの楽曲は、デビュー前のヴェルヴェッツによるノイズ音源。結果彼らはVERVEからデビューしますが、もしESPからデビューしていたらと考えると...

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収録されている作品

ESP-Disk 「意識革命」の軌跡〜Turn on, Tune in, Drop out/サイケデリックの季節〜



NYのアンダー・グラウンド・レーベル「ESP-Disk」の軌跡をご紹介するシリーズの第三弾。

サイケデリック革命の父=ティモシー・リアリーによる啓発盤「Turn on, Tune in, Drop out」をリリースしたのが65年。日に日に求心力を増していく、サイケデリック・ムーヴメント。LSD、意識革命、既成概念との決別...「時代がESPに追いついてきた」。高まる気運のなかストールマンは、もとより造詣の深いフォークに傾倒。戦友のFUGSやGODZを交えつつ、アシッドを餌に公園でナンパしつつ、数々のアシッド・フォーク問題作を世にリリースしていきます。一方のロックは、当時西海岸で鳴っていた陽気で快楽的なものとは一線を画すサウンドで、瞑想的であったり狂気的であったり、必ずどこかに歪でストレンジな妙味を内包し、深いトリップを伴う録音作業から産み落とされた「怪作」と呼ぶに相応しい作品が目立ちます。アシッドを伴い、より高次元の「意識革命」を日夜実践する、サイケ期のESP。しかし、ピークこそ越したもののまだまだサイケデリック・ロックが隆盛を見せていた68年、ストールマンのビジネスに対する無頓着さも災いし、僅か3年でその歴史に一旦終止符を打つことになります...

  • TIMOTHY LEARY

    LSDや幻覚剤による意識革命を唱え、サイケデリックロックの成熟にも多大な影響を与えた元ハーバード大教授による啓発盤。オリエンタルムード溢れるバッキングサウンド、エフェクトを効かせたくぐもった語り。キメの3つの慣用句が告げる、新しい季節の到来。

  • SEVENTH SONS

    ジミヘンとの共演で知られるNYのSSWバズ・リンハート、後にORGANGRINDERSを組むF.イーヴントフらによるグループ。疑似シタールのアコギと疑似タブラの打楽器による疑似ラーガ。録音はサイケ夜明け前の64年という先進性!

  • CROMAGNON

    終始トリップした脳味噌で一心不乱に機材と向き合った二人組による、ジャンクでアシッド濃度高めの69年実験作。過剰に歪んだ楽器音、ネジの緩んだコラージュ、阿鼻叫喚...。呪術的なバグパイプが紫煙の如く上昇するトライバル賛歌、悪酔い覚悟で。

  • ERICA POMERANCE

    「背中に電気ウナギを入れられたような衝撃」と、かつて関西のミュージシャンが評したと言われている、カナダはケベック出身のプリミティヴなフィメール・アシッド・アヴァン・フォーク!ESPが放った呪術即興的な金字塔的傑作!

  • OCTOPUS

    タイトルが表すようにロックとフリージャズの融合を実践したグループ。アシッドな毒気と悪戯心が見え隠れしながらも、同時代の英国物に比肩するグルーヴの強度を持つブルース/ジャズロック。前述のエリカ・ポメランスの作品に参加したメンバー多数参加。

  • PEARLS BEFORE SWINE

    米アシッド・フォークの金字塔、トム・ラップ率いる夢魔の訪れのような魅惑的なストレンジ・フォーキー!シュールレアリスト、ボッシュの悪魔による人間界の崩壊を描いた不気味な絵画とは対照的な、美しく響くレナード・コーエンのカヴァーがこちら。

  • HOLY MODAL ROUNDERS

    呂律の回らない酔いどれ男たちのいつまでも合わない回転数に合わせて歌われるズッコケ・フォーク。今となっては完璧にアシッド・フォークの必須要素を満載してしまった感のある、カルト・ヒップスター。誰にもマネの出来ない芸人技のような地平へ突入!

  • ED ASKEW

    ESPのリリース・アイテムの中でも殊にカルト的人気を誇った、アシッド・シンガー。延々とリュート的南米楽器をかき鳴らしながら歌われる脱力感たっぷりの作風は、やる気を無くしたホーリー・モーダル・ラウンダーズ…!?

  • MIJ

    ESPの創設者バーナード・ストールマンが、NYワシントン・スクエアで即口説いてスタジオに連行したと言うヨーデル歌手。目眩を覚えるような12弦ギターと、増幅の極みに達するヨーデルによる、特濃なアシッド・トリッピン盤!

  • LEVITTS

    68年にリリースされたアシッド・ジャズ・サイケ・フォークの大名盤!LEVITTS一家によるこの作品。ふんぷんたるアシッド感の中にも、洒脱な雰囲気が零れるのは、スタン・ゲッツのドラマーだった父親のアル・レヴィッツがいるから!?

  • ALL THAT THE NAME IMPLIES

    フレッド・ニールに捧げられた、たゆたうような陽だまりアシッド・フォークの決定打!男3女2から成る混声サイケ/ヒッピー・フォーク。ほとんどアコギとコンガのみのシンプルなリラクシン・アンサンブルが満載。ちょっと牧歌的な雰囲気も瞑想的。

  • CHARLES MANSON

    BEACH BOYSのデニス・ウィルソンとの交流や、BEATLESの大ファンであったと言う音楽経歴を持つ、サイケデリック・シンガー。カルト・ヒッピー教団を率い、殺人犯として現在も収監中である彼本人との関係性を疑う程の純粋な歌たち。

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