GOD WILLIN' AND THE CREEK DON'T RISE

ザ・バンドやヴァン・モリソンから脈々と受け継がれたルーツ・ロックの2000年代最高峰、新鋭SSWによる2010年大傑作

アメリカ東北部のカナダにも接するニューハンプシャー出身のSSW。1973年生まれで、2004年にデビューした遅咲きのミュージシャン。ヴァン・モリソンの代表作にも比肩するような04年の名デビュー作、より艶やかに繊細なサウンドで幅を広げた06年作2nd、ザ・バンドにも比肩するルーツ・ロック最高峰を鳴らした08年3rdに続き、「RAY LAMONTAGNE & THE PARIAH DOGS」名義により2010年に制作された4thアルバム。オープニングから、ヘヴィなギターが炸裂するナンバーに「クレイジーホースの再来か！」と興奮させたかと思うと、2曲目では、今までの豊潤な作風に浮遊感のあるリリカルなエレキやペダル・スティールが添えられたナンバーに相変わらず聴き手の心を直球で奪います。ヴァン・モリソンにライ・クーダーが参加したようなルーツ・ロック・ファン悶絶の名曲ですよ。全体的にバンド名義になったことで、ザラついた感じがあって、ニール・ヤングが頭に浮かびます。でも、それは演奏面で、ヴォーカルやメロディは相変わらずサザン・ソウルの血を受け継いだ極上のもの。前作を「サザン・ソウルやザ・バンドから脈々と受け継がれたルーツ・ロックの2000年代形の確かな最高峰」と評しましたが、本作もそん延長線上でバンドを伴って力強く鳴らされた大傑作。70年代ルーツ系SSWやスワンプやソウルのファンにカケレコが自信を持っておすすめできる逸品。