ディスカヴァー・アメリカ

クラウドファンディングがない時代の寓話をひとつ（6 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

地元にあったレンガ倉庫（元工場）を保存しようと活動したことがあります。建造が1899年でした。最初から行政に働きかける考えはありません。かといってレンガ造の建物を商業施設に転用するのは大変なのです。なぜかと言えば高層階でなく、床面積が少ないから。維持費に比して収益構造が低いのがレンガ造の泣きどころです。移築するなら俺の土地をただで使ってくれ、という人から電話もらいましたし、国交省さんは何億もの交付金を使ってくれ、と直接営業に来られました。改修費用捻出のため基金を個人個人に働きかけはじめました。ところが…話に乗る人がいないのです。集まったのが2百万だったかな。大金を出せと言っているわけでないのです。あなたの千円を預けてくれ、と。この建物にそんな価値があるの、と何百人に言われました。そのうち建物は地震で壊れてしまいました。借りたい企業は見つけていたのにね…。

日本に古い文化があるなんてうそです。反対にアメリカに歴史がない、というのも偏見です。彼らは300年間、実に丁寧に歴史を残し続けています。紙に記録し、看板を立て、通りに名前をつけて。バン・ダイク・パークスのこの作は、古い音を再現するのに、ぷちぷちというノイズまで加えています。おそるべき執念。

バスの行先は、左「トリニダード」右「ハリウッド」。ビング・クロズビーがトニダードへ旅する話だと勝手に思っていますが、詳細は知りません。古いからって現代の人間が感動しないか、なんてことはありません。良い音楽はいつまでも良い。バスに乗ったロード・ミュージックとしても聞けます。2023.01.05