PHOEBE SNOW

強くて優しい母（2 拍手）

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なぜわたしがフィービ・スノウを知っているかは長い話になるので後ほど。彼女は出自も育ちも複雑で、両親があらゆるジャンルの音楽の聴き手だったことで自然発生的にジャンル横断型の歌手（兼ギタリスト）になったようです。「サンフランシスコ・ベイ」と歌っていたのに、生まれはNY、芸能デビューはグリニッジ・ビレッジです。メロトロンが弦楽の代わりに使われている珍しいレコードです。でも、メロトロンという楽器はもともと弦楽を表現するため発明されたのでした。

わたしは中学生のときから英字紙（週刊）を読んでいる早熟な子どもでした。当時はまっていた国際ラジオを聞くためです。英語の勉強のためだと言って親を騙していたんです。で、紙面にヒット・チャートと楽譜と歌詞と和訳がついていたんです。フィービ・スノウはそれで知りました。「ポエトリー・マン」は、空前絶後のヒットでしたので、それもラジオで聞いていました。音楽を盤で買うお金はありませんので、テープに録音していました。

この盤についてくどくど書こうと思いません。ブルーズとジャズの風味にあふれた大人のポップス。彼女の声と乾いたメロディに癒されます。ジョニ・ミッチェルに似ています。もっとリスナーに寄り添ってくれます。彼女、重度の障害をもつ娘さんを施設に預けずに育て上げるんです。とても強い女性。彼女のヒストリーを知って聴くと、どうしてこんなに透明なのか、心を揺さぶられます。2023.11.20