70年発表、プログレと言えばこのジャケ!A面の大作、B面の小曲集ともに美しく気品ある佇まいの名曲で固められた傑作
1,710円(税込1,881円)
COLUMN THE REFLECTION 第69回 ロックのヴォーカル・アンサンブルに驚かされた日々の想い出 〜 ヴォーカル・ハーモニー、コーラスの魅力 〜 不定期連載 ? 文・後藤秀樹
音楽ライター後藤秀樹氏による連載コラム「Column The Reflection」!今回は、ヴォーカル・ハーモニー、コーラスに注目して、有名アーティストからニッチなアーティストまで取り上げます。どうぞお楽しみくさだい☆
レビューは登録ユーザーのみ記入できます。
いつの間にやら、音楽とは何かと考えさせられていく(2 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
77年のリリース当時、わたしはプログレに入れ込んでいて、この作もその延長で大変よく聴いていました。ユートピアの到達したピークの大作という印象も持っていましたし。長い年月聴き続けていて、現在の印象は、トッド・ラングレン、ユートピアがどんなプロジェクトだったか、物差しと言いますか、制作基準となるような作だったという思いがしています。
片面一曲の大曲こそありませんが、旧B面の2曲は圧倒的です。特に5.Hiroshima ほど、センシティブに日本人の耳に響く音楽はなかなかありません。原爆投下の秒読みを模したメトロノーム、不気味なVOA放送のアナウンス、爆発直後の狂おしさと言いましたら泣けてきます。米国人が東洋人に対して何をしたのか。恐るべき告発、共感です。続く6.Singring And The Glass Guitar は、電化寓話という副題のとおり、ロックによるおとぎ話です。これがユートピアの演奏力とチームワークによって、立体的なオデッセイになっています。
わたしは、トッドとユートピアを、ヒューマニズムと語り部のアーティストだと思っているのです。音楽を信じれば、太陽ともコミュニケートできる、というコンセプトを、大げさだ、子どもじみていると切り捨てることは簡単。しかし、ロックの本質は、明日は何かが変わるという巨大詐欺に付き合うようなものではないのですか。