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暖かさに包まれたピエール・メルレン（2 拍手）

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トリビュートは、80年代に活動したスウェーデンのフュージョン・バンドです。軽く速い演奏の中、ケルトの土俗的フレーズを散らすのが魅力でした。中心は、ベース、ティンパニ、ビブラフォンのアンデション3人兄姉妹。ギターのアケ・ジーデンリート、鍵盤のクリステル・レディンがメロディのパートを担当していました。このバンドにピエール・メルレンが参加し、スタジオ録音1作とこのライブ録音を残しています。86年の西独ツアーが音源です。

わたしがこのバンドを知っているのは、メルレンがいたから、ということにつきます。この時期のメルレンは、マイク・オールドフィールドと活動するとお金が入って来て、自分のバンドではお金が出ていく、という構図だったと思います。ボーカル主体になって新しいファンを獲得したオールドフィールドに対して、メルレンは魅力のあるボーカリストをスカウトできませんでした。フュージョンとしては素晴らしくても、晩年の寂しさの理由です。冷たく凍るようなメルレンズ・ゴングと比べて、トリビュートの音は暖かです。メジャーコード中心だからなのですけど。

ライブということもあり、メルレンの存在感は圧倒的です。芸達者なメンバーの中で頭ひとつ抜けています。「アイスブレーカー」や「ニュー・ビューズ」という曲で彼がどれだけフィットしているか知ることができます。2023.11.27