ブリンズリー・シュウォーツ特集: バンド結成〜名作『SILVER PISTOL』までのストーリー
英国のザ・バンドとも評される愛すべきパブ・ロック・バンド、ブリンズリー・シュウォーツ特集として、彼らが、代表作と評される3rdアルバム『シルヴァー・ピストル』をものにし、パブ・ロックの代表格となるまでのストーリーをご紹介いたしましょう。
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誰もが中高生時代を思い出す柑橘系の音(4 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
新しいムーブメントは、新しいレーベル設立に伴うもので、スティッフとの契約が遅れたわが国では、「マイ・エイム・イズ・トゥルー」とこのレコードが同時にレコード店に並ぶ現象が起きました。渋谷陽一氏がFMでかけまくったこともあり、ちょっとしたエルビス・コステロ祭りが起きたことを覚えています。まだパプ・ロックともパンクともつかない紹介のされ方でして、シンプルな音と歯切れのよいビート、見事なメロディは、かなりの中毒者を生みました。
結局パンクと本当に呼べるパンクは、ピストルズだけで、ジャムもクラッシュもパプ・ロックの系統と親和性が高かったことが、今ではわかります。何が違うかと言うとエモーションです。破壊と攻撃が長続きするわけはなく、攻撃すべき対象がいなかったわが国では、むしろエモーション溢れるコステロやグレアム・パーカーが支持されました。聴いて耳に馴染み、しかし誰も聴いたことのないような切実で誠実なメロディは一級品です。
コステロはお茶らけたギャグ・キャラを戦略にしていたと思います。ところが、あまりにもメロディが上手いため、誰もがシリアスに聴きたがりました。このレコードの半分はふざけたもので、ニコニコしながら聴くのが正解です。それでもしんみりしてしまうのは仕方ありません。