男女ヴォーカル擁するUSサイケ・グループ、69〜70年に録音されつつもお蔵入りとなっていた発掘音源集、全13曲
2,290円(税込2,519円)
「そしてロックで泣け!」第二十八回 フリジッド・ピンクの「ロスト・サン」
世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。
USサイケ・サイケ・バンドによる、ロックの名曲カヴァーを集めました!
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熟成させた旨味を感じさせるUSハード(1 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
「朝日のあたる家」で有名なフリジッド・ピンクの72年サードは、英国アングラ・サイケと言って通用しそうな湿り気と激しさが魅力です。ケリー・グリーンに代わったジョン・ウェリングは、とり立った個性もない代わり、なかなかドラマティックないい喉を持っていると思います。初期ヒープを思わせるパーカッシブなオルガンが素晴らしいのが「ミス・イブル」。続く「セイラー」ではダルなブルーズと達者なギターに、おおっブリティッシュと声を上げたくなります。ストゥージズ、MC5、ボブ・シーガーのデトロイトから、これだけ湿度高いロックが生まれたのは不思議です。
英国のこの時代は、ネオンとかバーティゴとかカリスマとかハーベストとか…レーベルごとに個性があり、それなりにカタログが明らかになっています。対する米国はとにかく一発サイケのバンドが多く、手当たり次第に聴き続けるしかありません。中には、ううむと首を傾げるものも少なくありません。フリジッド・ピンクは、わたしの知る限り4枚出しています。同郷のフロストと同じようなキャリア。でもこれはサイケでは長寿命のほうなんですよ。長く味わい続ける魅力があると思います。2024.04.01