COMPLETE BLUES HORIZON SESSIONS

先輩、俺に稽古をつけてください（4 拍手）

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本名がウイリアム・トーマス・デュプリー、1910年ニュー・オリンズ生まれ。彼が「チャンピオン・ジャック」と名乗っているのは、マジにボクサーでタイトル獲ったことがあるからです。ちなみにその名は、アフリカ系でヘビー級タイトルを初めて手にした男の名から。両親を早くに火事で亡くしていて、その原因がKKKの放火だというのから、すさまじい人生です。逆境から立ち直ったにしては、デュプリーの声は怨念のかけらもありません。力強く、張りのある声です。

わたしがこのCDを持っているのは、6曲め以降の数曲をポール・コゾフとサイモン・カークが弾いているからです。クレジットを見て知っていれば、なんとかわかる程度の個性の具合です。しかし、デュプリーは、コゾフ、カークの演奏を導くような演奏に徹していて、若いロンドンの二人を育てている気だったのでしょうね。同じようにスタン・ウェッブの参加している曲、ミック・テイラー、ゲイリー・セイン、エンズレー・ダンバーが参加している曲があります。ブルー・ホライズンの名物オーナー、マイク・バーノンがデュプリーのロンドン滞在のめんどうをみて実現したセッションです。数年滞在していたのではなかったでしょうか。つまりブリティッシュ・ハードのユーザーであれば、見過ごせないセッション。知られていないですけど…。今知ったあなた、聴きたくなってきたでしょ。

資料として持っていても、十分元がとれると思います。デュプリーの貫禄ある演奏に徐々に引き込まれていく、ブルーズとして一級品のセッションです。それにブルーズがロックンロールに変わっていく過渡期の雰囲気もわかると思います。2022.07.14