CAT SCRATCH FEVER

アメリカの騒音がここにある（5 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

今ではその座をカリフォルニアに譲ってしまいましたが、かつてデトロイトと言えばハードロックの主産地。デトロイトと言えば、ボブ・シーガー、アリス・クーパー、ストゥージズ、MC5、そしてアムボイ・デュークスのテッド様です。この「キャット・スクラッチ・フィーバー」は、テッド・ニュージェントがオーバーグラウンドに浮上し、以後微動だにしないUSハードロックの象徴になった記念作です。（そう思っているの、わたしだけかも知れませんけれど。）

とにかく分かりやすいのがよいです。「キャット・スクラッチ・フィーバー」を作曲できたとき、トム・ワーマンは会心のシングル曲がやっと出来たと思ったそうです。すごいのが、次の曲もまた次の曲もシングルにすればヒットするだろう迫力を持ったものばかり。バカでかい音量のギターに加え、脅迫的なビートは最高です。さすがモータウンのまちです。（ちなみにモータウンとは、モーター・タウン、つまり自動車産業都市という意味です。）

わたしが入れ込んでいるテッド・ニュージェントを、わが国のジャーナリズムは全然評価しません。頭の悪い人だと思っているんでしょうか。この作の計算の緻密さと言ったら、ツェッペリン、ジェスロ・タル級だと思います。今も鳴らしながらこの文を書いていますけれど、体の震えが止まりません。ギターがセミ・アコだったり、ヘンな顔したり、すぐ裸になったりするのは、テッド一流のブラフです。でもそのブラフを愛してしまうんですよ。