HTCD9003(HIATUS) 【2017年発売CD】
呪術的なパーカッションとグルーヴィーなリズムに載せてファジーなワウ・ギターがグルグル渦巻くサイケ・ジャム「China」がやっぱり強烈!サックスを交えたブルージーな楽曲も味わい深いクラウト・ブルース・ロック名作。
72年発表の彼らの唯一作。延々と打ち鳴らされるパーカッションにノイジーなファズ・ギター&エレクトロニクスが渦を巻く混沌サイケ・ジャム「China」で有名なアルバムですが、残りの曲は意外にも真っ当なサイケデリック・ブルース・ロック。ジミヘンを彷彿とさせる躍動感に満ちたギターを中心に、ソウルフルなヴォーカルやタイトなドラムが織り成す濃密なアンサンブルは熱気たっぷり。時にキレのあるサックスを交えてスリリングなジャズ・ロック・パートを展開するなど、テクニックやアイディアも充実しています。一部で見せる混沌としたクラウトロック的側面を楽しんでも良し、残りのサイケ・ブルース&ジャズ・ロックを楽しんでも良しと、一枚で違った旨味のあるアルバムです。
ロックの歴史を塗り替えた衝撃の67年デビュー作!
エクスペリエンス・タイプのフレンチ・ヘヴィ・サイケ・トリオ!68年録音、幻のデビュー作
ジャーマン・ロックを代表するグループ、70年作1st
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ヘーレン・ズィー・ビッテ!(0 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
サックスを大胆に据えたサイケ&ブルーズ・ヘビーであります。ドイツのバンドは、だいたいハードロック、シンフォ系、エクスペリメンタル系、ヒッピー系にジャンル分けできて、それぞれ強烈な個性を放つのでありますが、このバンドは、そういった安易な色分けを許しません。ただギターのヨルグ・オフラートが、ヘンドリックスから多大な影響を受けていることだけは確かです。
異色なのが1曲めの「チャイナ」で、最も有名です。アフリカ系のどろどろしたビートにエレクトロニクスが乗る、強烈な印象を残す曲です。このずんずん沈むようなビートに馴染むと大変クセになります。少しカンに似ているでしょうか。
出身はボンで、これも珍しい。バンド解散後のメンバーの進んだ職業は、教師、法律家、医療コンサルタント、乗馬学校オーナー。大変なインテリ集団だったわけです。この曲以外のサイケ&ブルーズ曲にはドイツらしさをほとんど感じません。かと言って英国アングラのようでもなく、無国籍極まります。「チャイナ」で呆気にとられていると、演奏の吸引力にやられてしまう音楽です。バンド名をドイツ語読みするとエレクトリッシェ・ゼントビッチ。ここはエレクトリック・サンウィッチと英語読みするのが正解のようです。