RAINBOW BAND

ロジャー・ディーン・ジャケで知られるデンマークのMIDNIGHT SUNの前身にあたるグループ、サイケデリックでジャジーでクラシカルな個性派ポップ作、71年発表

デンマーク出身、ロジャー・ディーンがジャケットを手掛けた2枚の作品で知られるジャズ・ロック/ブラス・ロック・バンドMIDNIGHT SUNの前身にあたるグループ、70年に発表された唯一作。MIDNIGHT SUN1stの元になった作品で、多くは同一楽曲が占めますが、異なるアプローチの演奏が楽しめます。MIDNIGHT SUNがソウル・フレイヴァーも濃厚に含んだブラス・ジャズ・ロックを聴かせたのに対し、本作はクラシカルな要素も散りばめられたよりポップで軽やかに展開されるサウンドが特徴。ジャズの本格的な素養が滲むさり気なくも技巧的なリズム・セクションの上で、サイケ度の高い熱くうねるギター、対照的に軽快に鳴らす爽やかなアコースティックギター伴奏、跳ね回るようにゴキゲンなプレイからクラシカルな格調高いプレイまで自在なピアノが踊り、ややおどけた調子のヴォーカルが伸びやかに歌います。多彩に変化していく曲調に翻弄される一筋縄ではいかないプログレッシヴなサウンドと言えますが、ごった煮的なギトギト感がないのは非常に洗練されたシャープなアンサンブルのおかげ。全編にうっすらと漂う60年代末らしいアングラ臭も大変いい感じです。それにしても60年代のデンマークに同時代の英米バンドすら凌駕するこんな実力派グループがいたことに改めて驚き。好盤です。