極光 - AT THE EDGE OF THE WORLD

コンポーザー/マルチプレイヤーの大山曜によるプログレッシヴ・ロック・ユニット、16年作、これは現代版・初期マイク・オールドフィールドと言って差し支えない傑作！

88年始動、コンポーザー/マルチプレイヤーの大山曜によるプログレッシヴ・ロック・ユニット、それぞれ5つのパーツからなる2曲の組曲を収録した16年作。張り詰めた空気の中で鮮やかに響くピアノの反復フレーズ、どこまでも透明な音色を奏でるクラリネット、躍動感と気品に満ちたヴァイオリンなどが幻想的に紡ぐ、アコースティックな「静」のパート。変拍子の中をエッジの効いたキレのあるエレキギターとアグレッシヴにうねりを上げるシンセがテクニカルな応酬を繰り広げる、テンションみなぎる「動」のパート。両者が劇的に対比されながら描き出されるサウンドは、震えがくるほどの圧倒的なダイナミズムで迫ってきます。「動」から「静」へ、加熱し圧巻の盛り上がりを見せた演奏がフッと消え去り清冽なピアノの独奏が現れる瞬間はまさに息を飲む美しさ。アコースティック・ギターが主体となるトラッドな手触りのパートでの、初期マイク・オールドフィールドに通じる世界観も非常に魅力的です。選び抜いた音だけを緻密に重ね合わせて織り上げていくようなシンフォニック・サウンドは、職人的という表現がぴったり。25分前後の組曲2曲という構成ながら、難解さはまったくなく、「世界の果て」を表現したという緻密にして流れるように駆け抜けていく音像に身を浸す心地よさすら感じさせてくれます。これは初期のマイク・オールドフィールドが現代のプログレ・シーンに蘇って作品を作ったとしたら、という疑問に対する一つの答えと言ってもいいほどの驚くべき完成度。傑作です。