サンキュー ミスター・チャーチル

老いてなお硬派のギター凛冽かな（3 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

失礼ながら、「フランプトン・カムズ・アライブ」「アイム・イン・ユー」で彼はフェイドアウトしたと思っていらっしゃるでしょ。たしかに年月は残酷で、彼はもう美青年ではありません。ところがフランプトンは、世間の人気をいざ知らずずっと骨太の活動を続けていて、近年はブルーズ・アルバムは出すわ、インスト・カバー集は出すわ。ギタリストとしての俺を見てくれ、の熟年期をおくっています。

このレコードは特に気合が入っていて、自身の自叙伝である「サンキュー・ミスター・チャーチル」を披露しています。ハードロック回帰とも言えるギターの力強さです。曲ごとに弾いているギターの年式、型式が書いてあり、誰が聴いてもギターを聴かせたいのだな、とわかる「つくり」です。もちろん美しく親しみやすいメロディに溢れています。「アイム・デュー・トゥ・ユー」 は全盛期に匹敵する素晴らしいポップさで、サビ部分のあまりの見事さに涙ぐみそうになりました。

6曲めが横田めぐみさんをイメージした作曲「アスリープ・アット・ザ・ホイール」。緊張感と怒りにあふれています。続く「リベルテ組曲」ではめぐみさんに捧げられた美しいギター・インストを聴かせます。めぐみさんと同じ年恰好の娘さんがいるそうなのですね。