悪夢の惑星

この音を聴くと「良心」とは何かを問いたくなる（2 拍手）

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ここにあるのは、徹底的に「暗さ」を排除した理想郷です。一般的には歌ものユートピアとして知られている盤です。それは確かに。ブロードウェイ・ミュージカルやディズニーのような人工的な世界の心地よさを感じる作であります。トッドの特異なポイントは、R&Bやカントリーなどルーツ音楽的なものに影響を受けないところ。自分の信じる「これだ」という線にこだわった音を必ず出してきてくれます。その人工性ゆえ、ユーザーを選んでしまうところはやむを得ません。でも、もっと支持されていい活動だとは思いますよ。

「ラー」の次で、いよいよどれを切ってもシングルになるような長さの曲を並べ、これを難しいと評する人はいないでしょう。しかしお子様音楽かと言えば違います。わたしは「殉教者」を聴いたとき、あまりの美しさに打たれ、呆然としました。いまだにユートピアのフェイバリットです。あまりに理想郷の音を追究してしまったため、疲れ果てて「ヒーリング」みたいな音になることもあるようです。かなり自分にプレッシャーを与えてこの音を出しているんでしょうね。締めくくるのが「ラブ・イズ・ジ・アンサー」です。この曲にケチつけられる人なんて、この世にいません。「ハロー・イッツ・ミー」に似た佳曲です。2023.02.05